クロームメッキ(クロムめっき)とは、別名クロミニウムとも呼ばれる遷移金属「クロム(元素記号:Cr)」を使ったメッキを意味します。

クロムメッキ画像

クロムは高硬度且つ美しい金属色を放つ金属であり、変色しにくい特性から主にクロームメッキとしての用途で使われています。

 

まずは、クロームメッキの特性と用途から見ていきましょう。

クロームメッキ製品の特性と用途

クロームメッキは、その優れた特性から様々な用途に使われています。

エンジン部品・金型などの工業用の部品から、私たちが使っているインテリア製品も含め、クロームメッキの活用例は非常に幅広く、メッキとして現在主流になっている種類です。

 

ここからは、クロームメッキ製品の用途と主な特性を見ていきましょう。

クロームメッキの主な製品用途

【クロームメッキの主な製品用途】

 

用途

めっき活用例

工業用途

エンジン部品、シリンダ、軸受け、シャフト、各種金型、ゲージ、各種塔槽類、熱交換器、バルブ、フランジ、ポンプ、水道蛇口、水栓パイプ等の水回り部品

装飾用途

インテリア各種、街頭設備、照明器具、バイク外装部品、自動車外装部品、ゴルフヘッド等々

 

クロームメッキの用途を大きく二つに分類すると「工業用途」と「装飾用途」に分かれます。

これは外観への効果を期待している要素が強い「装飾」と、メッキの機能特性を活かしたい「工業」という分け方で分類しています。

 

工業用途では、エンジン部品・シャフトやシリンダー、ポンプといった強度と耐久性を求められる重要なパーツに用いられており、クロームメッキの機能特性が非常に信頼されていることが伺えます。

 

特に産業機械に使われる部品類は、油分を含む化学製品への耐性、耐摩擦性が求められるため、錆びなければどんなメッキでも良い訳ではありません。

 

一方、装飾用途では街頭設備、バイク・自動車の外装部品やゴルフヘッド等、クロームメッキの持つ美しい装飾性と耐久性の両方が着目され、厳しい環境下にありつつも美しさを保つ手段として信頼されています。

 

耐候性(耐食性)がありつつ、美しい装飾性の両方を満たす代表例がクロームメッキであり、外気に触れることの多い設備や部品には最適です。

 

様々な用途に使われているクロームメッキですが、一体どのような特性を持っているめっきなのでしょうか。

 

次はクロームメッキの特性を見て、期待される効果を知っていきましょう。

クロームメッキの主な特性

 

【クロームメッキの主な特性】

 

特性

説明

耐摩擦性

摩擦・擦れに優れた耐性

耐衝撃性

衝撃・打撃耐性に優れている

耐食性

サビに強い耐腐食性

光沢性

美しい輝きと光沢で装飾に優れる

 

数多くの製品に使われているクロームメッキには、優れた特性があります。

主な機能特性は上記の表にある「耐摩擦性」「耐衝撃性」「耐食性」「光沢性(装飾性)」の4つが挙げられます。

 

この4つの用途は何れも産業需要が高い一方、クロム金属は算出地に偏りがあり供給が不安定でという事情も。

そのため、日本国では非常事態に備えて国内消費の60日分を備蓄している「安全保障策」があり、重要な国家備蓄として確保されているほどだ。

 

ここからは、重要物資であるクロームメッキの特徴を一つずつ見ていきましょう。

「耐摩擦性」摩擦に強く塗装が剥がれにくい

【クロムメッキと各材料の摩擦係数比較】

 

組合せ材料

静止

運動

クロムメッキ-クロムメッキ

0.14

0.12

バビット合金―クロムメッキ

0.15

0.13

鋼-クロムメッキ

0.17

0.16

バビット合金―鋼

0.25

0.2

バビット合金―バビット合金

0.54

0.19

鋼-鋼

0.3

0.2

※表引用:アルファメック株式会社「クロムメッキ皮膜の性質~摩擦係数~」

 

クロームメッキの特性として代表的なものである「耐摩擦性」

クロームメッキの耐摩擦性は、その滑りの良さが影響しており、静止・運動での摩擦係数が低く、摩擦に対する抵抗性・耐久性が高いことが分かります。

 

そのため、シリンダーやポンプ・バルブ等の摩擦が生じやすい用途への活用が有効になっています。

また、密着性も良く、摩擦ですり減ってしまった部分を厚く塗ることで補修できる点においても優れている。

「耐衝撃性」衝撃・打撃に強く傷付きにくい

【クロームメッキの硬度比較】

クロームメッキの硬度比較
※画像引用:OTEC「硬質クロムめっきの特徴」

 

クロームメッキはその他めっきと比較して硬度が高く、衝撃や打撃に強い特性を持っています。

めっきの下地として使われることが多い、「銅」「亜鉛」よりも非常に硬く、大きな力が掛かる工業部品や外装パーツの保護等にも向いています。

 

こうした特徴から、鉄鋼加工用のローラーや油圧空圧器の部品にも用いられており、クロームメッキの加工方法次第ではダイヤモンドよりも高い硬度が得られるとして、注目されています。

「耐食性」錆に強く腐食しにくい

【クロム金属と耐食性の有無】

 

耐久性

成分等

耐食性がある

アンモニアガス、硫化水素、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ミョウバン、塩化ナトリウム、ギ酸、ステアリン酸、ピクリン酸、サリチル酸、石炭ガス、過熱水蒸気、多くの果物の酸、砂糖、ビール、グルー、ミルク、紙パルプ、石油、印刷インク、尿素樹脂、ビニル樹脂などの合成樹脂、ゴム、石鹸、タンニン酸など

耐食性がない

塩酸、フッ酸、リン酸、稀硫酸、クロム酸、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化すず、シュウ酸、クエン酸、乳酸

※出典:アルファメック株式会社「クロムメッキ皮膜の特性~耐食性~」

 

クロームメッキの素材である「クロム(Cr)」は、めっき加工すると様々な成分や薬剤に対しての強い耐食性を示すようになります。

化学薬品を使用する産業への活用の他、食材から出る成分にも強いため、包丁などの調理器具にも使われており、一般家庭から工場まで広い需要に応じた転用が可能です。

 

めっき加工すると、表面に「酸化膜」と呼ばれるバリアが作られ、この膜が様々な成分や化学物質からめっきを守ることで耐食性を得ています。

 

クロムメッキが錆びる理由や腐食の仕組みについてはこちらで詳しく紹介しています。

クロムメッキはなぜ錆びるのか?原因を解説!

「光沢性」美しい艶と反射性を持つ

クロムメッキ仕様のピカピカバイク

上記はクロームメッキを施し、鏡面状態まで仕上げたバイクの画像例です。

 

クロームメッキは、金属の美しい光沢と優れた反射性により「鏡面」のような状態まで仕上げることが可能です。

 

その高い装飾性は、多くのバイク・自動車外装パーツに用いられており、現在も根強い人気があります。

 

また、「黒クロームメッキ」等、漆黒でマットな質感を演出する加工も可能。

高級感やプレミアムな雰囲気を演出することから、店内装飾等に使われることもあり、耐性と美しさを兼ね備えたメッキとして重用されているのです。

 

クロームメッキの仕上がり画像はこちらでもご覧いただけます。

メッキ加工の依頼なら

クロームメッキの種類と各特徴一覧

本章からは、クロームメッキの種類について特徴と共にご紹介します。

クロームメッキの種類では主に、「硬質クロームメッキ」と「黒クロームメッキ」の2つがあります。

(※この他にもありますが、代表的なものを紹介します。)

 

それぞれの特徴、通常のクロームメッキとの違いを見ていきましょう。

 

硬質クロームメッキとは?

【硬質クロームメッキ】

 

名称

硬質クロームメッキ

(※別名:硬質クロムメッキ、ハードクロム、ハードクローム、硬質クローム、工業用クロム、工業用クローム等)

特徴

高硬度・耐摩耗性向上

 

硬質クロームメッキは、自動車部品や油圧・空圧機器(空港機部品)等に使われている、耐久性に非常に優れためっきです。

 

硬質クロームメッキとは、装飾用途ではなく工業用向けの加工であり、厚いメッキ処理を施したものを呼びます。

(※具体的には、めっき膜が5μm未満の厚さのものを「装飾用クロームめっき」、5μm以上は「工業用・硬質クロームめっき」として区別しています。)

 

加工方法によっては、ダイヤモンドの硬さ(1600Hv)を上回る1800Hvを叩き出せるほど硬質性を高めることも可能で、大きな力が加わる工業用の金型などに使われています。

 

黒クロームメッキとは?

【黒クロームメッキ】

 

名称

黒クロームメッキ

(※別名:黒クロムメッキ、黒色クロムメッキ等)

特徴

耐熱性・耐食性の向上、塗料の密着性が高く、熱吸収に優れる

 

黒クロームメッキは、マット調の漆黒色が特徴的なメッキです。

通常のクロームメッキと異なり、薬品を化学反応させてメッキ色を黒にし、通常の青光りした銀色のクロムメッキと同じ耐性を持っています。

 

ただし、メッキのムラや傷が目立つといったデメリットもあり、加工するには高度な技術が求められます。

 

塗料との密着性が高いので下地として用いられる他、高い熱吸収率から放熱部品に使われている。

 

マット調の黒色は、自動車やバイクの外装パーツ加工でも人気です。

 

クロームメッキを綺麗に保つための「お手入れと保管方法」

クロームメッキで綺麗に加工された状態を長期間保つためにはどうすればよいだろうか?

 

その答えは、「定期的なメンテナンス」と「保管場所」にある。

それでは、各ポイントを解説していきましょう。

クロームメッキのメンテナンス方法

クロームメッキのメンテナンスは、「クリーナー」「ケミカル保護被膜剤」「ウエス」を使って行います。

 

【クリーナー】

メッキクリーナーは、研磨剤が入っていないタイプのものを選びましょう。

 

【ケミカル保護被膜剤】

クロームメッキは非常に薄くデリケートなため、何度も磨くことで傷やくすみの原因に繋がってしまいます。

そこで、クリーナーで手入れをした後に「ケミカル保護被膜剤」を使うことでメッキ全体を被膜保護(フィルムを貼る感覚)して守ることが、長期間綺麗に保つコツです。

 

オススメは弊社がメッキ専用に独自開発した「メッキング」です。

 

【ウエス】

布であれば良いですが、めっきが傷付かないようにウエスをオススメします。

 

【簡単お手入れ】

車全体の汚れを一度綺麗にして乾燥させた後、「クリーナー」を使ってメッキを丁寧に磨きます。

クリーナー使用後は、綺麗な状態のメッキに「ケミカル保護被膜剤」を塗ってあげれば完了です。

 

詳細なお手入れ方法は、こちらの記事で紹介しています。

メッキ用クリーナー紹介 正しいメッキの手入れ方法を プロが解説!

 

クロームメッキのメンテナンスは、一ヶ月~二ヶ月に1回は時間を作って行うようにしましょう。

クロームメッキの保管方法と弱点について

耐久性・耐食性に優れたクロームメッキですが、「実は雨曝しにすると錆びてしまう」ので保管場所には注意しよう。

 

クロームメッキは表面に微細な穴が開いており、そこから様々な成分を含んだ雨水が入ることで、下地のメッキに錆が生じてしまう原因になる。

 

保管する際には、湿気が少ない屋内を選ぶと理想的です。

やむを得ず屋外で保管する場合は、雨天時はバイクカバーで保護しつつ、晴れたらカバーを外して乾燥させましょう。

 

水分を含む汚れ(泥など)が付着した状態を放置するのも、錆の発生原因になるので気を付けてください。

 

まとめ:クロームメッキの特徴は「美しさ&耐久性」にあり

今回はクロームメッキの基本的な部分を解説させて頂きました。

 

クロームメッキの主な特徴は「耐久性能の高さ(耐摩耗性・耐食性)」と「美しい光沢と反射性」の二つです。

 

機能性だけでも需要が高いクロームメッキですが、装飾性の高さも相まって工業・装飾の両方で人気となっています。

 

美しく機能的なクロームメッキと長く付き合うためには、雨曝しを避けて、メッキ上の水分はなるべく早く乾燥させることが大切です。

 

弊社が開発した「メッキング」では、クロームメッキの表面に空いている微細な穴(弱点)を塞ぎつつ、保護膜を形成することでサビの原因を排除できます!

 

ベンツのメッキ部分にはメッキングが塗布することで腐食防止効果があります。

気になる方は、メッキングの販売ページをご覧ください。