画像参照元…ヤマハ公式ページ
世界最速を求めたヤマハのバイク『XS1100/XSイレブン』
今回ご紹介するのは1978年に発売されたヤマハの『XS1100』。通称『XSイレブン』と呼ばれるバイクです。かつてヤマハが本気で世界最速を狙ったマシンで、世界にヤマハの技術力を見せつけた一台です。
XS1100が登場する9年前の1969年には、4サイクル4気筒エンジンを搭載した大型バイクであるホンダ・ドリームCB750Fourの登場を皮切りにナナハンムーブメントが巻き起こりました。1970年代に入るとカワサキのZ1など、CB750Fourに追随する様に各メーカーのバイク開発競争は過熱していきました。よって多くの新たな技術や性能が詰め込まれた名車が生み出され、まさに4サイクル・マルチエンジンの黎明期とも言える時代です。
ヤマハも4サイクルエンジン搭載の大型バイクとして、TX750やGX750などの数ある名車を生み出してきましたが、より高みを目指すべく開発されたのがこのXS1100なのです。
XS1100はその名の通り、XS750の排気量を遥かに越える1101ccの空冷4サイクル4気筒DOHCエンジンを搭載しており、当時の国産車では最も大きな排気量のバイクとして登場しました。デザインもどっしりとした重厚感のあるボディで、迫力のある出で立ちです。
排気量の選定理由も、既に他メーカーの1000ccいわゆるリッターバイクが席巻する中、それらを凌駕するバイクを開発すると言った目的で設定されており、1100cc以下で止まらず”1101.7cc”と、敢えて上回らせてくるあたりがライバルを突き放すヤマハの意地と本気度を感じられます。最高速も250km/hをマークし、まさにヤマハが見た世界最速の夢を豪快に叶ようとしたバイクでもあり、ヤマハにとって初となる4気筒エンジン搭載モデルという、バイク史においても重要な意味を持つ一台でもあるのです。
残念ながら国内販売はされず、海外向けモデルとして主に欧州や北米へ輸出されていた為、日本での知名度は高くありませんが、その存在感とスペックは現地でも注目されていた事でしょう。
情報の少ないレアなモデルのXS1100とは一体どの様なバイクなのか。外観の特徴などを中心に解説していきたいと思います。
目次
ヤマハXS1100/XSイレブン 主要諸元
エンジン
- 種類:並列4気筒2バルブ4ストロークDOHC
- 冷却方式:空冷
- 総排気量:1101.7cc
- 燃料供給方式:キャブレター
- 内径(シリンダーボア):71.5mm
- 行程(ピストンストローク):68.6mm
- 圧縮比:9.2:1
- 最高出力/回転数:95p/8000rpm
- 最大トルク/回転数:9.2kgf•m/6500rpm
- 始動方式:セルフスターター式
- 変速機:リターン式5速MT
寸法
- 全長:2260mm
- 全幅:920mm
- 全高:1175mm
- ホイールベース:1545mm
- 車両重量:255kg
- タイヤサイズ(前):3.50−19
- タイヤサイズ(後):4.50−17
性能
- 乗車定員:2名
- 燃料タンク容量:20L
構造
- フレーム型式:ダブルクレードルフレーム
- 動力伝達方式:シャフトドライブ
- ブレーキ(前):油圧式ダブルディスク
- ブレーキ(後):油圧式ディスク
圧巻の1101ccエンジン
XS1100に搭載された1101cc空冷4気筒4サイクルDOHCエンジンは、ボアストローク71.5×68.6mm、圧縮比:9.2:1、最高出力は95p/8000rpm、最大トルクは9.2kgf•m/6500rpm、最高速は250km/hを誇っていました。
エンジン造形も迫力があり、横に大きく広がった4気筒エンジンの存在感は相当なものです。更にブラック塗装された事でより無骨さを強調し、重厚感あるエンジンは見る者を圧倒します。
マフラーは2in1の左右2本出しマフラー。エキゾーストパイプの取り回しも非常に潔く、エンジン真下へスッと伸びてクランクケースで折り返し、テールへ向かって真っ直ぐに突き抜けるストレートデザインとなっています。ちなみに始動方式はセルフスターター式です。
紳士的なデザイン
圧倒的な排気量と当時世界最速を追い求めたモンスターマシンですが、その出で立ちはどっしりと構えたツアラーデザイン。スポーティというよりはヨーロピアンな紳士的な雰囲気で、見た目はかなり大人しめに感じます。車体の長幅高は2260×920×1175mm、ホイールベースは1545mm、車両重量は255kg。
ヘッドライトはメッキのリムにブラック塗装されたケースの大きなスクエアタイプを採用。 ウィンカーもヘッドライト同様にスクエアタイプでフロントフォークにマウントされています。メーターもスクエアケースのアナログタイプで、まるでビンテージものの腕時計の様な雰囲気。スピードメーターとタコメーターに挟み込まれたインジーターランプケースは楔形文字の様な独特なデザインとなっています。
タンクは20Lでロングツーリングでも安心の大容量。形状はヤマハらしいシンプルで曲線の美しい造形で、深みのあるレッド塗装にゴールドのラインと『YAMAHA』のエンブレムが印象的です。シンプルなダブルシートは厚みがあり、長距離のライディングでも疲労軽減をしてくれそうです。シートを包み込む様にカウルも装着され、デザイン的にも拘りを感じます。
続いては足回り、フロント19インチ・リヤ17インチの大径インチタイヤに装着されているのは重厚感のある7本スポークのキャストホイール。前後油圧式ディスクブレーキ(フロントはダブル・リヤはシングル)を採用しています。また、駆動方式はXS750と同様にメンテナンス性に優れたシャフトドライブとなっています。
スペックの豪快さとは裏腹に、ジェントルな雰囲気漂うXS1100は品のあるツアラーモデルとして、高く評価されていたそうです。
XS1100Special/XS1100Sportもかっこいい!
XS1100の派生モデルとして、XS1100SpecialとXS1100Sportなども販売していました。
XS1100Special(XS1100スペシャル)はアップハンドル・丸目ヘッドライト・ティアドロップタンク・段付きシートなど、アメリカンバイクを彷彿とさせるクルーザーモデルです。ブラックカラーにゴールドの差し色の特別仕様車Midnight Specialも存在していました。
XS1100Sport(XS1100スポーツ)はその名の通りスポーツ仕様にカスタマイズされたモデルで、直線を基調としたクラフト感のあるビキニカウルに、テールの盛り上がったシートを採用するなど、カフェレーサースタイルのXS1100となっていました。また、エンジンからマフラー、外装のほぼ全てをブラック塗装した”アウトロー”な雰囲気も魅力的です。
もちろんこれらの派生モデルも国内では見る事はほとんどない超レアモデルです。私個人的にはXS1100Sportは、映画『ブラックレイン』に登場していたハーレーダビッドソンのXLCRの様なアウトロー感があってかなり惹かれます。
愛車をいつまでも美しく!
以上、ヤマハの世界最速へのロマンと情熱が詰まったバイク『XS1100』のご紹介でした。ヤマハの歴史においてもXS1100の誕生はかなり大きな出来事だったと思います。
1101.7ccという、当時としては最も大きな排気量を誇ったXS1100は今もなお、4気筒エンジンの可能性を広げた名車として語り継がれていく事でしょう。
国内ではほぼ見る事はありませんが、XS1100の様なレアな旧車を所有するならばやはり外装のメンテナンスも十分に気を気を配っていきたいところです。レアな旧車でしかも外装が綺麗であればオーナーも満足し、ツーリングでも注目の的になる事間違いなしです。
もちろん塗装のコーティングなどのメンテナンスも重要ですが、それと同じくらいメッキパーツへもコーティングを施し愛情を注いでいきましょう。メッキパーツも経年と共にくすみや錆が発生するので、何もせず放っておけば錆腐食が侵食して取り返しのつかない事になり兼ねません・・・
車やバイクに施されているメッキ加工は『クロームメッキ』と呼ばれるキズや錆に強い加工技術ですが、やはりこのクロームメッキも完璧ではありません。確かにクロームメッキの加工面自体は硬く滑らかになっていますが、手触りでは分からないほど無数の穴が表面に存在しています。その穴から水分が入り込み、下地にあるニッケルメッキを侵食しやがて表面のクロームメッキごと剥がれ落ちてしまいます。
それを防ぐ為に、メッキを磨いたりした後はメッキパーツにもコーティングを施してこの水分の侵入を防ぐ必要があるのです。
またメッキ磨きに使用する磨き剤も正しく選ぶ必要があります。メッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもメッキ専用で、しかもきちんとしたものを使わないと更に傷みやすくなり錆や劣化の原因になります。
愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為に、しっかりとメンテナンスを依頼するショップやケミカルを選び、愛車を美しく維持していきましょう。
愛車はどのKING?
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
クロムメッキ磨き剤「ミガキング」
クロムメッキ保護剤「メッキング」
クロムメッキ錆落とし剤「サビトリキング」
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クロムメッキの事についてもっと知りたい方は
詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。