板金溶接で大切なことは?主な溶接の手順や板金の特性と溶接法を知っておこう

メッキ剥離後板金溶接前

板金前

板金溶接後

板金溶接後

 

1971年 ビュイック リビエラバンパー凹み1

板金前

1971年 ビュイック リビエラバンパー板金修理後1

メッキ剥離後→板金溶接後

1971年 ビュイック リビエラバンパー再メッキ後1

再メッキ後

 

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板金溶接において大切なこととはなんなのでしょうか?
ここでは板金溶接の手順をはじめ、どんな溶接法があるのかや板金の特性などについて解説します。
金属などの加工に欠かせない方法となっている板金溶接ですが、基礎的な知識をしっかりと身につけましょう。
一言で板金溶接と言っても溶接法は複数あり、それぞれで手順も変わってきます。
さらに材料となる素材も複数あるため、こうした部分を把握しておくことが大切です。

板金溶接とは?

そもそも板金溶接とはどういった手法なのでしょうか。
板金溶接は複数の金属を固着させるための技術です。
接合部分を熱で溶かし、その後に冷却することで固めて接合するというのがおおまかな仕組みとなります。
一般的に板金溶接というと薄い金属の板同士を接合するイメージがあるかと思います。
もちろんこれも板金溶接の1つですが、板状の金属だけでなくさまざまな形状の金属同士を接合することが可能です。
また、近年では金属だけでなく合成樹脂といった金属以外の素材も板金溶接できるようになっています。
さまざまな製品の加工に板金溶接は欠かせない技術となっていて、私達の生活の中でも板金溶接が活かされている物は多く存在します。
たとえば車もあらゆる部分で板金溶接が利用されています。

板金溶接の種類と手順

では板金溶接の種類と、それぞれの手順について見ていきましょう。
まず種類ですが、板金溶接は大きく3つの方法に分けることができます。

★融解法
★ろう接法
★圧接法

以上の3つです。
どの方法も対象の素材を熱を利用して接合するという意味では同じですが、その仕組みや手順が違います。
特徴も変わってきますので違いを理解し適切な方法を選択することがポイントです。

融解法の手順や特徴

融解法はもっとも一般的な板金溶接の手法と言えます。
たとえば2枚の金属板を融解法で接合するという場合、まずはそれぞれの金属板を熱で溶かします。
板金の現場を目にした時、よくたくさんの火花が散っていることがありますが、あれはアーク放電というものを利用して金属に熱を加えて溶かしています。
放電によって1万度以上の高温を発生させ、金属も簡単に溶かすことができます。
熱によって溶けることで2枚の金属板が接合され、冷却すると完全に固まり1つの加工物として完成します。
他の方法にも言えることですが熱で対象を溶かし、冷やすことで固めるというのが基本的な板金溶接の仕組みとなります。
融解法はアーク放電を利用した方法をはじめ、強度が高いことが大きな特徴です。
金属同士をしっかりと接合することができ、さまざまな場面で融解法が採用されます。

ろう接法の手順や特徴

ろう接法では融解法と違い、溶加材と呼ばれる材料を使用します。
融解法では対象となる金属自体を溶かすことで接合していましたが、ろう接法では溶加材を溶かして対象同士を接合させます。
接着剤を使用して紙などを接着させるようなイメージです。
溶加材としてろうなどを使うことからろう接法と呼ばれています。
もっとも有名なろう接法としてははんだ付けが挙げられます。
はんだ付けは主に電子基板の制作時などに使われ、はんだを溶かして部品同士を接合しています。
はんだが溶加材としての役割を果たし、複数の部品を接合できています。
板金溶接におけるろう接法も仕組みはまったく同じものだと考えてかまいません。
溶加材として何を使うかはその時によって変わってきますが、いずれにしても溶加材を熱で溶かし、金属同士をつなぎ合わせます。
対象の金属を溶かすことがないため形状の変化などの心配がないのが特徴です。
融解法だと溶けた段階で金属の形状などが変わってしまうおそれがありますが、ろう接法ならそのリスクをなくして溶接が可能となります。

圧接法の手順や特徴

圧接法の手順は基本的に融解法と同じです。
金属同士を熱で溶かし接合するやり方になりますが、融解法と異なるのは圧力も利用するという点です。
金属を熱で溶かして接合する際、機械によって圧力を加えてより短時間に強力に接合が可能になっています。
機械の力を利用することもあり、溶接作業をすべて自動化しているのが一般的です。
たとえば工場の製造ラインなどでよく採用されていて、機械が自動ですべての作業を行ってくれます。
人の手が不要になるため大量生産に向いていますが、金属板に厚みがあるとしっかりとした接合ができず、強度が低くなるという問題も抱えています。
そのため薄い金属板を板金溶接するという場合に適しています。

板金溶接のメリット

金属同士を接合することが可能な板金溶接ですが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
メリットとして挙げられるのは、接合が簡単に短時間でできる点と、コストダウンが可能という2つです。
板金溶接はどの方法であれ熱の力を利用して短時間で金属同士を接合し、強度を高められます。
板金溶接には高い技術や専用の機械が必要という条件があるものの、条件さえ揃っていればすぐに金属の接合・強度アップが可能です。
大量生産の現場などではスピードも重視されるためこれは大きなメリットになります。
また、コストダウンも可能です。
たとえば融解法では溶加材も不要で、金属同士を溶かすことで接合します。
余計な部品や材料がいらないためコストも抑えられるわけです。
ろう接法でも溶加材さえあれば接合が可能で、やはりコストダウンが狙えます。
無駄なコストを削減するためにも板金溶接は役立つのです。

板金溶接のデメリット

では逆にデメリットはないのでしょうか。
板金溶接で考えられるデメリットの1つに、素材の変形があります。
素材を1度溶かして固めるという性質上、どうしても素材が変形してしまう可能性が出てきます。
当初の予定とは違った形になってしまった、精度が落ちてしまうといったリスクを抱えているわけです。
そのため板金溶接には高い技術が求められます。
ミスによっては素材が変形するどころか壊れてしまうようなケースもあり、細心の注意を払わなければいけません。
また、冷やして完全に固まると元に戻すことも基本的にはできません。
ネジで止めているような状態とは違い、完全に1つの金属として接合されますので、簡単に元に戻すというわけにはいかないのです。
やり直しがきかないというのもデメリットになるでしょう。

板金材料について

板金溶接で使わえる素材にはどんなものがあるのか見ていきましょう。
一般的に板金溶接で使われる材料は金属ですが、先程も触れたように金属以外の物も使われるようになってきています。
板金材料は大きく3つに分けられます。

★鉄系金属
★非鉄金属
★非金属

この3つです。
たとえば鉄系金属としては鉄はもちろんのこと、ステンレスも代表的です。
ステンレスは錆びにくいという特性を持っているため、さまざまな製品で使われます。
家庭の台所などでもステンレスが使われていることが多いですが、このステンレスも板金溶接を利用して接合が可能なのです。
私達の生活でもよく目にしている製品にも板金溶接の技術が使われています。
非鉄金属ではアルミニウムなどが素材として挙げられます。
アルミニウムもさまざまな製品に利用されています。
軽いため加工も簡単で、扱いやすいのが特徴でしょう。
非金属では合成樹脂などが板金溶接で接合されています。
板金溶接と言えば金属というイメージが強いですが、実際には金属でなくても接合可能です。
熱で溶かし、冷やして固めることができれば原理としては接合可能な技術のため、金属以外の素材にも広く使われています。
合成樹脂とはいわゆるプラスチックのことで、その種類も豊富です。
現代社会においてはあらゆる場面で利用されており、需要も高いため板金溶接による接合、加工も重要な意味を持っていると言えるでしょう。

板金溶接は簡単に言うと金属などの素材を接合するための技術です。
熱で溶かし固めるというのが基本的な仕組みで、一般的な融解法をはじめ、ろう接法や圧接法などの種類があります。
厳密には融解法・ろう接法・圧接法それぞれにさらに細かな種類分けがされており、板金溶接の手法は多岐にわたります。
いずれにしても本来なら接合が難しい素材同士を簡単に接合できる非常に優れた方法です。
種類ごとの手順や特徴などを踏まえ、最適な選択をできるようになることが大切です。
また、板金溶接が可能な素材としてどんなものがあるのかも把握しておきましょう。
鉄やステンレスといった鉄系の金属はもちろん、それ以外の金属や、プラスチックのような金属でない素材も板金溶接が可能になっています。
非常に多くの素材が板金溶接可能と言え、板金溶接の幅は大きく広がっています。

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