メッキ塗装の知っておくべき違いとは? メッキ加工とメッキ塗装の違いとは?

クロムメッキ仕様のピカピカバイク

車やバイクのパーツにはメッキが利用されています。
光沢があり、高級感を演出してくれるだけでなく、傷やサビにも強くなるため非常に便利です。
そんなメッキですがメッキ加工とメッキ塗装という2つの手法が存在します。
メッキ加工とメッキ塗装ではどのような違いがあるのでしょうか。
ここではそれぞれの違いについて見ていきます。
同じメッキという言葉が使われていても加工と塗装でまったく別なものなので注意しましょう。

メッキ加工とは?

電気メッキイラスト図

まずはメッキ加工について見ていきましょう。そもそもメッキという技術は特定の素材に金属の被膜を作り、表面を覆うことを言います。この作業がまさにメッキ加工になります。たとえば車やバイクの場合、さまざまなパーツにメッキ加工が施されています。タイヤのホイールであればホイールを溶けた金属の中に漬け込み、ホイール表面に金属の被膜が形成されるようにします。その後に乾燥させれば金属の被膜も固まり、ホイールを保護するように包み込んでくれます。対象を金属の膜で多い保護するのがメッキ加工の大きな役割となるわけです。

メッキ加工を施す目的

装飾クロム参考画像・バイクカバー

メッキ加工の仕組みはわかりましたが、なぜメッキ加工を施す必要があるのでしょうか。
メッキ加工を施す目的としては以下のような点が挙げられます。

★耐食性の向上
★見た目を良くする

車やバイクにメッキ加工を施すという場合、基本的にはこれら2つの目的で行われます。
どちらもメッキ加工が持つ大きな特徴でもあり、ぜひ抑えておきたい部分です。

メッキ加工による耐食性の向上

先程も紹介したようにメッキ加工を施すことで対象の表面を金属の膜で覆うことができます。
より具体的に言うと、一般的なクロムメッキであれば銅・ニッケル・クロムという3つの金属による被膜が作られます。
この被膜によって耐食性が向上、つまりサビに強くなるのです。
メッキ加工を施していない場合、金属パーツが剥き出しになっているような状態で雨に打たれるなどすればどんどん腐食しサビていきます。
しかしメッキ加工を施していれば素材となる金属がメッキによって覆われていますので、直接水分に触れることがなくなります。
その結果として耐食性が大きく向上します。
もちろん完全にサビなくなるというわけではありませんが、メッキ加工をしない状態と比べれば大きく耐食性は向上してくれます。
車やバイクでもサビ防止のためにメッキ加工を施すというのは非常に重要なこととなります。

メッキ加工によって見た目も綺麗に

クロムメッキ加工など、メッキ加工は見た目もとても綺麗になります。
輝くような銀色になり、しっかりと磨かれていればまるで鏡のようです。
ピカピカと光沢があり高級感も演出してくれるため、愛車をより綺麗にしたいという方にとっても重要な技術と言えるでしょう。
耐食性の向上によってサビがつきにくくなるのはもちろん、見た目をより綺麗にしてくれるというのもメッキ加工の特徴でありメリットとなります。

メッキ加工の種類

メッキ加工はその加工方法によって大きく2つに分けられます。

★乾式メッキ
★湿式メッキ

これら2つです。
どちらもメッキ加工なのですが、加工の方法が違うと考えてもらえればよいでしょうか。
乾式メッキと湿式メッキの違いも確認しておきましょう。

乾式メッキについて

真空蒸着イメージ図

一般的にメッキ加工というと溶けた金属、たとえばクロムメッキなら銅やニッケル、クロムという金属の液に対象となる素材を漬け込むことで被膜を作ります。ですが乾式メッキの場合は液体に漬け込むという作業を行いません。そのかわりとして金属を気体化させて被膜を作ったり、電子ビームの力を使って被膜を作ったりします。液体以外の方法で金属被膜を作る方法というわけです。メッキ加工としては一般的な方法ではありませんが、この乾式メッキでメッキ加工を施すという場合も見られます。

湿式メッキについて

湿式メッキは一般的なメッキ加工の方法です。これまでも紹介してきたように、金属の液体を使って被膜を作り出します。基本的にメッキ加工と言えばこの湿式メッキを指すと考えてもらってかまいません。特にクロムという金属を使ったクロムメッキが私達の身の回りでは多く使われています。

メッキ加工のデメリット

硬い金属の被膜を作ることで耐食性を向上させ、さらに見た目も綺麗にできるメッキ加工ですが、デメリットもあります。それがどんな素材にも施せるわけではないという点です。メッキ加工を施せる素材というのは基本的に金属製のもので、現在では樹脂製の素材にも一部対応しているものの、あらゆる素材をメッキ加工できるわけではありません。また、素材を金属の液体に漬け込んで被膜を作るという性質上、素材が液体の入っている容器の中にしっかりと入らないといけません。素材が容器よりも大きくしっかり液体に漬け込めないという場合もやはりメッキ加工ができなくなります。多少の制限があるのがメッキ加工のデメリットと言えるでしょう。

メッキ塗装とは?

銀鏡メッキイラスト図

メッキ加工について見てきましたが、次はメッキ塗装とはなにかを見ていきましょう。メッキ塗装は文字通り特殊な塗料を素材に吹き付けて塗装するという技術になります。作業の工程も一般的な塗装とほぼ同じで、銀色の塗装を行うようなものだとイメージしてもらえればよいでしょう。普通の塗料とは違い、銀など金属を吹き付けて塗装する形となっています。仕上げにトップコートをして完成です。トップコートをすることで吹き付けた塗料を保護し、簡単に落ちないようにします。こうしてメッキ塗装のやり方を見ていくとメッキ加工とはまったく違うものだというのがわかると思います。メッキ加工は金属の液体に漬け込んで被膜を作りますが、メッキ塗装は塗料を吹き付けて色を塗るような形です。

機能性ではメッキ加工の方がメッキ塗装よりも上

メッキ塗装はあくまでもメッキ加工したように塗料を塗る方法です。
そのためメッキ加工が持つような耐食性はありません。
つまり強力なサビ防止効果などはほとんど期待できないのです。
あくまでも見た目がメッキ加工したように綺麗になるというだけです。
そのため車やバイクの外装パーツには向いていません。
外装パーツは雨に打たれたりホコリが付着したりと厳しい環境におかれます。
メッキ加工でしっかりと保護してあげないとあっという間にサビてしまうでしょう。
耐食性を向上させサビを防ぐという意味ではメッキ塗装は使いづらいと言えます。
メッキ塗装は塗装ですから剥げやすく、機能的な面ではどうしてもメッキ加工に劣ってしまいます。

メッキ塗装のメリット

メッキ塗装にもメリットはあります。最大のメリットはカラーバリエーションの豊富さでしょう。メッキ塗装の場合、使用する金属の関係上どうしてもカラーバリエーションは限られます。銀色、金色の2パターンくらいで、実際には銀色が使われることが多く、実質的には銀色一色と言ってしまってもいいくらいです。一方でメッキ塗装なら塗料を塗る方法なのでカラーバリエーションも増えます。そのため自分の好きな色でメッキ風に仕上げたいという場合にとても便利です。このカラーバリエーションの種類の差はメッキ加工とメッキ塗装の大きな違いの1つとなります。メッキ塗装は外装パーツには向いていないと説明しましたが、逆に内装のパーツであれば問題なく使えます。インテリアをより豪華に、綺麗にするという意味でもカラーバリエーションが豊富なの嬉しい特徴です。耐食性ではなく、装飾性を優先したいという場合はメッキ加工ではなくメッキ塗装を選択する意味が出てきます。

メッキ加工とメッキ塗装の施工について

メッキ加工もメッキ塗装も業者に依頼して施工してもらうことが可能です。業者に依頼する場合ですが、メッキ加工だけを請け負っている業者、メッキ塗装だけを請け負っている業者、両方を請け負っている業者と違いがあるため注意しましょう。メッキ加工したい場合はメッキ加工をしてくれる業者を、メッキ塗装したい場合はメッキ塗装をしてくれる業者を探すようにしましょう。ここまで見てきたようにメッキ加工とメッキ塗装はそれぞれまったく違う作業です。業者選びもこの点を踏まえたうえで行いましょう。

メッキ加工は金属の液体に素材を漬け込んで被膜を作るもの、メッキ塗装は特殊な塗料で素材を塗装するものという違いがあります。見た目はどちらもほぼ同じになりますが、耐食性など機能的な部分で違いが出てきます。メッキ加工とメッキ塗装の違いを把握し、それぞれの技術を使い分けられるようになりましょう。そうすれば見た目を綺麗にしつつ、耐食性を向上させるなど必要な機能も持たせられます。

メッキ加工の見積

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