【80年代を代表するハイソカー『ソアラ 』】
私は無類の車好きなんですが、それは父の影響がかなり大きかったと思われます。私の父も相当の車好きで、その趣味が高じて大学卒業後に就いた職はトヨタのディーラーだったそうです。父が若かった1980年代はそれはそれはロマンの詰まったクルマが多く、新型モデルを発表する度にクルマ好きが目の色を変えてディーラーに押し寄せた。なんて事もあったそうです。
そんな父の話すエピソードで最も印象的だったのが『初代ソアラ』の話です。父がトヨタのディーラーに勤めていた店舗に当時発売前のソアラを展示するという話があったそうです。なんとその時の運送方法はトラックに積んだものでは無く、実際にソアラ自体を走らせて港から店舗まで陸送するという方法でした。
発売前のソアラを運転する、しかも公道で。そんな夢の様な任務を担ったのが当時営業を担当していた父で、もちろん誰もまだ実車すら見たことの無いソアラを走らせるとなるとその注目度はかなりもモノだったそうです。当時を振り返る父は「発売前のソアラを運転するのは気色良かったぞ」という決め台詞で話を締めくくる・・・というのを何万回も聞かされた記憶が有ります。
ちょっと話が前後しますが、ソアラが発売されたのは1981年。初代ソアラは1980年代を代表するハイソカーとして注目を浴び、クーペスタイルで有りながら高級志向のスタイリングは当時のクルマ好きたちを大きく沸かせました。
ハイソカーのブームの火付け役として一時代を築いたソアラはその後、トヨタのラインナップにその名を残し続け、1981年2月に発売されてから2005年7月までのおよそ24年間愛され続けた名車でも有ります。もちろんその間はモデルチェンジを繰り返し、最終型である4代目を最後に惜しまれつつもそのクルマ人生に幕を下ろしました。またレクサスブランドでも展開され、国内外においても高く評価されていました。
そんなクルマ業界に旋風を巻き起こしたトヨタ『初代ソアラ』についてたっぷりと語っていきたいと思います。
目次
【ソアラは憧れの的だった】
今となっても実しやかに囁かれているのは『ソアラに乗っていればみんなが道を開ける』と言った逸話です。少々盛った言い方なんでしょうが、当時初代ソアラに乗っていた元オーナーの方々が口々に言っていたので、結構事実に近い感じなのかなとは思います。
奇しくも最近、よく通る道沿いの中古車屋さんにそれこそ初代ソアラが誇らしげに展示されているのですが、思わず「おっ!」と目を奪われてしまいます。現代でもそう思わせるのですから、発売当時としては相当な衝撃的なデザインだったに違い有りません。
時代の古さを感じつつも、秀逸なデザインというのは時を越えた今でも魅力的に感じますね。当時のデザイナーがかなり優秀だったのが伺い知れます。ちょっとベタ褒めしすぎでしょうか・・・
そんなソアラはクルマ好きの間ではもちろん、嗜好性の高い車種で有りながらもそこまで車に詳しく無い人にでも認知されているほどの有名車種でした。当然の如く誰しも憧れるハイソカーだったのは言うまでも有りません。
【初代ソアラの主要諸元】
『ソアラ(SOARER)』の名前の由来は『最上級グライダー』と言う意味だそうです。グライダーとは滑空機の事で、エンジンを搭載しない滑空機を上級滑空機として称されています。つまりソアラとは滑空する様な滑らかな走行をしてくれる上級車であることがイメージ出来ますね。
名前の候補には他にも仏教の十二神将の迷企羅大将から取った『メキラ』や不死鳥を意味する『フェニックス』があった様ですが、「メキラは怪物を連想させる、フェニックスは不死鳥という言葉に死という不吉な文字が入る」などの理由で却下された様です。
ソアラにはグリフォンのエンブレムが装飾されていますが、グリフォンとは獅子の胴体に鷲の頭部と翼を持った姿で、天上の神々の車を引く伝説の生き物です。優雅な雰囲気のソアラに合致したイメージとなっています。
そんな初代ソアラの主要諸元はこの様になっています。ピックアップしたのは2800GTです。
〈エンジン〉
・型式:5M−GEU
・種類:直列6気筒DOHC エンジン
・冷却方式:水冷
・燃料供給方式:電子制御燃料噴射
・総排気量:2759cc
・トランスミッション:フロア4速AT
・内径(シリンダーボア):83.0mm
・行程(ピストンストローク):85.0mm
・最高出力/回転数:170ps/5600rpm
・最大トルク/回転数:24kgf•m/4400rpm
〈寸法〉
・ボディタイプ:2ドアクーペ
・全長:4655mm
・全幅:1695mm
・全高:1695mm
・ホイールベース:2660mm
・トレッド(前):1440mm
・トレッド(後):1450mm
・車両重量:1305kg
・乗車定員:5名
・燃料タンク容量:61L
・タイヤサイズ(前後):195/70HR
〈構造〉
・エンジン位置:フロントミッドシップ
・駆動方式:FR(後輪駆動)
・懸架方式(前):独立マクファーソンストラットコイル
・懸架方式(後):独立セミトレーリングアームコイル
・ブレーキ(前):ディスクサーボ
・ブレーキ(後):ディスクサーボ
初代ソアラ のエンジン仕様の展開は3.0リッター・2.8リッター・2.0リッターと展開されており、前排気量において直列6気筒エンジンが採用されています。ソアラ専用に開発されたツインカムエンジンの5M−GEUは2.8リッターで最高出力170psという十分なパワーを誇っていました。またトランスミッションにおいても4速ATと5速MTが準備されておりました。
最上級グレードである2800GTエクストラには、キーの閉じ込み防止・ライト消灯忘れ・パーキングブレーキの戻し忘れ・半ドア・給油口の閉じ忘れを音声で教えてくれるエレクトロニックスピークモニターや、高速道路での長距離運転には嬉しいクルーズコントロールなども装備されていたそうです。
当時としてもかなり充実した装備で、まさにハイソカーに相応しい利便性に富んだ仕様となっていました。
【秀逸なデザイン】
まるで高級セダンの様な貫禄のあるソアラ。その優雅な見た目は数多くのクルマ好きを魅了しました。潔い直線型のボディラインが特徴的で、それに合わせて顔つきも直線を基調としたフェイスデザインとなっています。グッと引き締まったフロントフェイス、グリルにはソアラの象徴であるグリフォンのエンブレムが誇らしげにあしらわれています。
直6DOHCエンジンを格納した広くフラットなボンネット。そこに装着されたまるでポリゴンの様な造形のフェンダーミラーが図らずもアクセントとなっています。
全体的なデザインはマークIIと言ったトヨタの高級志向のセダンを彷彿とさせるモノで、当時のトヨタらしいメリハリのあるエクステリアとなっています。
実はソアラの成功の陰にはかの名車クラウン2ドアクーペが存在しており、それまで高級クーペの土壌を守り続けたクラウンクーペは、ソアラの華やかな登場と輝かしい功績によりバトンタッチする様にラインナップから消えました。
またソアラは当時としてもトヨタのデザイン的・技術的な粋を結集したモデルでも有り、ソアラ の存在はトヨタのブランドイメージを向上させたそうです。
【内装からみる高級感】
ソアラは外観だけではなく、内装デザインにおいても一切の妥協を感じない作りとなっています。落ち着いた色調の内容で、レザー調のインパネなどハイソカーらしい高級な質感となっています。ステアリングを見てみるとここにもソアラの象徴であるグリフォンのレリーフが刻まれています。
メーターは当時としても最新のエレクトロニックディスプレイメーターが採用。針で表示するアナログメーターではなく、デジタルゲージによる回転数の表示です。スピードメーターもデジタル表示と、メーターレイアウトはかなり前衛的なモノでした。フューエルメーターにおいても蛍光管式を採用するなど、脱アナログが顕著に現れていたメーターシステムと言えます。
居住空間においても高級感が有り、ボディタイプは2ドアクーペですが基本的にウインドウが大きめに作られているからか、開放感も有ります。後部座席もスペースこそは狭いものの、まるでセダンの様な分厚いシートが採用。決しておまけでつけたエマージェンシーシートではなく、同乗者の快適性にも配慮したシートとなっています。
質感、開放感、居住感全てに拘ったソアラのインテリアはまさにハイソカーの名に相応しい作りとなっています。外観の完成度の高さもですが、内装の仕上がりもオーナーの方々にとって満足度の高いものだったに違い有りません。
【初代ソアラの中古相場は?】
初代ソアラの製造販売期間は1981年〜1986年のおよそ5年間。発売から40年ほど経った現代の中古相場を調べてみたところ、2.0リッターエンジンのVRターボモデルでおよそ200万円前後。2.8リッターのエクストラ、しかもフェンダーミラー仕様の前期となると400万円オーバーと年式からは考えられない程の価格がついています。
価格が全てでは無いですが、やはり当時から人気だったものは時を経った今でもこうやってプレミア価格としてその価値を誇示していくのでしょう。
【ノスタルジックな高級クーペの魅力】
ハイソカーブームの火付け役として一世を風靡したソアラ。初代からここまで完成度が高く、評価されたクルマもなかなか珍しいのでは無いでしょうか。そんなトヨタの実力を見せつけた初代ソアラは現代でも、思わず人々を振り向かせるほどの魅力を持っていると思います。
旧車好きにとってヨダレが出そうなくらい魅力的なソアラ。今後もその魅力は衰える事は無いでしょう。以上トヨタの名車、『初代ソアラ』のご紹介でした。
愛車はどのKING?
NAKARAIメッキで加工した旧車パーツ参考事例を掲載させていただきます。
ケンメリバンパー
![]() |
再メッキ前 |
![]() |
再メッキ後 |
ダットサン フェアレディ(SR311型)リヤバンパー
![]() | ![]() |
再メッキ前 | メッキ剥離後 |
![]() |
板金修理後 | 再メッキ後 |
![]() |
再メッキ後バンパー |
旧車パーツのメッキ手入れ
クロムメッキパーツの多い旧車パーツの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれるくらいの錆びになってしまいます。
錆びてきていない初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの穴を埋める事で耐食性が上がます。
クロムメッキ保護剤「メッキング」
クロムメッキ錆落とし剤「サビトリキング」
再メッキ加工の事ならNAKARAI
メッキング&サビトリキングを購入する
(POPデザインは バイク/車/トラック とありますが中身は一緒です)
メッキング&サビトリキングの購入を検討しているが、その前にメッキパーツについて相談がある方は、メッキパーツ相談室へ
メッキパーツ相談室
A.画像を拝見させていただく限り、既にクロームメッキが取れて、下地のニッケルメッキを通りこしてうっすら銅メッキがでている状態です。サビはなく、バンパー部分も綺麗に保っている状態を考えると、研磨剤のはいったメッキ磨き剤で磨きすぎた結果だと思います。手入れをしたつもりが逆にアダとなったのでは? こうなってしまったら再メッキしか再生不能です。 今後は磨くのではなく、メッキングで定期的なコーティングを強くお勧めいたします。
クロムメッキの事についてもっと知りたい方は、
詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。