『トヨタ カローラ1400SR』本格派スポーツカローラ
【ちょっと贅沢なクーペ。カローラ1400SR】
今回ご紹介するのはトヨタ『カローラ1400SR』です。カローラは言わずと知れたトヨタを代表する大衆車で、日常的な生活スタイルやレジャーなど様々なシーンで使いやすく、また老若男女・年齢層問わず幅広い人たちに愛され現代においても『国民の足』として根強い人気を誇っています。
1966年に初代が誕生してから現代に至るまでの半世紀以上も製造されているロングセラーモデルのカローラですが、その長い歴史の中でもただの平凡な大衆車ではなく、その時代ごとのニーズや動向・流行りといったものを反映する『鏡』の様な存在で、多種多様なボディタイプや仕様のものが製造販売されていました。
今回ご紹介するカローラ1400SRはカローラシリーズの通算2代目となるE20型カローラのクーペモデルです。
2代目カローラE20型自体は発売前年に開通した東名高速道路を意識して『東京インターチェンジから西宮インターチェンジまで無給油で走れる』事を前提にタンクの大型化を念頭に開発が進められ、1970年5月に発売されました。当時のキャッチコピーは『ちょっとうれしいカローラ』というなんともキャッチーな謳い文句。
その後1971年にクーペモデルのカローラ1400SRが登場。車名にある『SR』とは『Sport & Rally(スポーツ&ラリー)』の略称で、カローラの中でもスポーツ仕様として売り出されました。その他にはセダン・バン・ステーションワゴンタイプなど用途に応じたボディラインナップが展開されており、2ドアクーペモデルの1400SRはいわゆるスペシャルティーカーの様な嗜好品的位置付けだったと言えるでしょう。
それではトヨタ『カローラ1400SR』についてたっぷり語っていきたいと思います。
目次
【カローラ1400SRの主な仕様】
トヨタ カローラ1400SRの主な仕様はこの様になっています。排気量は1600cc・1400cc・1200ccが準備されており、1400ccの1400SRは最もバランスの取れた仕様とも言えます。
〈エンジン〉
・型式:T−D
・種類:空冷直列4気筒OHV
・総排気量:1407cc
・燃料供給方式:キャブレター
・内径(シリンダーボア):80.0mm
・行程(ピストンストローク):70.0mm
・最高出力/回転数:90ps/6000rpm
・最大トルク/回転数:12.0kgf•m/3800rpm
・変速機:4速MT フロア
〈寸法〉
・全長:3945mm
・全幅:1505mm
・全高:1345mm
・ホイールベース:2335mm
・トレッド前:1260mm
・トレッド後:1245mm
・車両重量:830kg
・燃料タンク容量:約45リットル
・タイヤサイズ(前後):6.15−13
・乗車定員:5名
・最小回転半径:4.5メートル
〈構造〉
・フロントサスペンション:独立マクファーソントラットコイル
・リアサスペンション:固定 半楕円リーフ
・フロントブレーキ:ディスクサーボ
・リアブレーキ:ドラムサーボ
・駆動方式:FR
カローラ1400SRに搭載された1.4リッターOHVエンジンは最高出力90ps/6000rpmと、力強さを持っており、車体重量840kgという軽量ボディも相まって軽快な走行ができるまさにスポーツカーらしい仕様です。
更にシングルキャブ仕様とツインキャブ仕様が用意され、後者は最高出力95ps/6000rpmとよりパワフルなものとなっていました。しかしその構造は専用のスポーツキャブではなく、シングルキャブをふたつ付けるというものでした。こういった力技が昭和のクルマ造りっぽくて私は好きですが、きっと乗り味も結構大味だったのではないでしょうか。
【レビンとトレノの兄貴的存在】
パワフルで有りながら軽快な走りをみせるカローラ1400SRは、スポーツカーとしてのポテンシャルを持ち合わせています。一見して大衆車の様な愛嬌のある外観では有る事から『羊の皮を被った狼』とも例えられ、見た目からは想像できないスペックだったと言えます。
後にこのT型エンジンをベースに(厳密にいうと1.6リッター仕様の方)DOHCへと換装され最高出力115ps/6400rpmにパワーアップしたエンジンへと変貌を遂げ、後に2T−G型エンジンとしてレビンやトレノへ実装される事となりました。かの名車の兄貴分的存在となり、カローラ1400SRの功績とも言えるものです。
また強化されたサスペンション構造とラジアルタイヤ採用など、足回りもブラッシュアップされ、スポーツモデルとし恥じないスペックを誇っています。その分内装インテリアを簡素化するなどして車重を軽量化。結果的に帳尻合わせの様な形になりましたが、走りに対するストイックさが伝わってきます。
【カローラ1400SRの外観】
カローラ1400SRは愛嬌のある外観では有りますが、随所にスポーツカーとしての要素をふんだんに散りばめた洗練された外観となっています。
全長3945mm全幅1505mmとコンパクトなボディながら、フロントからリアに向かって流れる様なそのスタイリングはファストバック クーペの様なスタイリッシュなシルエットをしています。
フロントフェイスは丸目が印象的な顔つきで、フロントグリルにはメッシュタイプが採用されています。そのグリルには『COROLLA(カローラ)』のイニシャルを示す『C』を象ったエンブレムが装着されています。またヘッドライト周辺やフロントバンパーガーニッシュはシルバーパーツであしらわれ、高級感も演出されています。フロント部は逆スラントノーズの引き締まった形状をしており、まさにスポーツモデルと言わんばかりの顔つきの様にも感じます。
フラットなボンネットの後方には二つのエアインテークが設置されており、フェンダーミラーも小ぶりな砲弾型のラウンドミラーを採用するなどして、よりスポーティーな印象を受けます。フロントフェンダーには『SR』の専用エンブレムがさりげなく飾られており、カローラ1400SRが特別な一台である事を物語っています。
リアのデザインにも抜かりが有りません。フロント同様にシルバーメッキのリアバンパーなどの装飾も施されており、リアビューにも拘りを感じられる作りとなっています。
この様に外観デザインに関してはカローラシリーズの中では珍しいクーペモデルでは有りながら、洗練された完成度の高いものとなっています。
【シンプルで有りながら考えこまれたインテリア】
ボディの軽量化によって内装が簡素化されたカローラ1400SRですが、決して手抜きなどではなく『限られた素材でどこまで拘ったインテリアを作り上げるか』という思いが伝わってきそうな内装なっています。
ハンドルはスポーティーなT字ハンドルが採用されており、ドリルド加工の様なものが施されており、無骨さも漂います。メーターはスピードメーターとタコメーターがメインで、その間には油温計を燃料計とシンプルなレイアウトとなっています。もちろんメーター類は全てアナログの丸目メーターとなっています。
全体的に内装は黒を基調としたシックで引き締まった印象を受けるデザインとなっています。シンプルで有りながらもドライバーをその気にさせる秀逸な空間は、居心地の良い居住性だけではない『奮い立たせる工夫』が施されている様にも感じます。
内装のデザインというのはクルマにとっては、外観デザインに次ぐ重要視すべき点で有ます。カローラ1400SRの内装はその本質を最初から知っているかの様に、簡素化されながらも質感や雰囲気に妥協を許さないクルマ造りの情熱を感じます。きっとこのコックピットから見える景色は、乗ったものにしか分からない素晴らしいものでしょう。
【カローラ1400SRの中古相場は?】
レビン・トレノの兄貴分として陰の立役者としてひっそりでは有りながら、しっかりとその存在を示し続けているカローラ1400SR。その中古相場を調査しようとしたのですが、現在大手中古車情報サイトを始めとした市場には流通していない様で、その超がつく稀少車である事が分かります。
よって残念ながら中古相場は分かりませんでしたが、私の予想では状態がよければ200万〜300万円は下らないのではないでしょうか。(あくまで私の予想)
もしかしたら今後、中古市場に状態の良い個体がポッと現れる可能性もあるので、気になる方は時折チェックしてみた方が良さそうですね。
【見た目に騙されてはいけない本格派スポーツ】
カローラ1400SRは決してカローラシリーズのおまけスポーツなどではなく、走りに対して向き合いカローラという大衆から愛されたクルマを使って具現化した本格的なスポーツモデルと言えます。
確かにこの時代は自動車産業自体が黎明期の様な時代であった事から、完璧なスポーツカーとは言い切れないものの、その完成度の高さは高く評価できるものではないのでしょうか。
今でこそ稀少モデルとなっており、かのトヨタの名車レビン・トレノよりも遥かに入手が困難なレア車ですが、現代でも元気に走る個体もある様です。
3.11の東日本大震災の津波に巻き込まれ廃車同然となったカローラ1400SRを助け出しレストアの末、5年の歳月をかけて奇跡の復活を遂げたという話が話題となったのも記憶に新しいかと思います。
この様に美しいエピソードを誇る事ができるのも、時代や世代を越えてたくさんの人たちから愛され、情熱を思い出させてくれるカローラ1400SRはまさにクルマの真意を持っているからだと言えます。
この助け出された個体然り、これからも現存する個体にはオーナーに愛されながらそカーライフに寄り添い続けている事を願っています。
少し感慨深い〆となりましたが、それだけの魅力がこのクルマにあるという事です。以上トヨタ『カローラ 1400SR』のご紹介でした。
愛車はどのKING?
NAKARAIメッキで加工した旧車パーツ参考事例を掲載させていただきます。
ケンメリバンパー
再メッキ前 |
再メッキ後 |
ダットサン フェアレディ(SR311型)リヤバンパー
再メッキ前 | メッキ剥離後 |
板金修理後 | 再メッキ後 |
再メッキ後バンパー |
旧車パーツのメッキ手入れ
クロムメッキパーツの多い旧車パーツの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれるくらいの錆びになってしまいます。
錆びてきていない初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの穴を埋める事で耐食性が上がます。
クロムメッキ保護剤「メッキング」
クロムメッキ錆落とし剤「サビトリキング」
再メッキ加工の事ならNAKARAI
メッキング&サビトリキングを購入する
(POPデザインは バイク/車/トラック とありますが中身は一緒です)
メッキング&サビトリキングの購入を検討しているが、その前にメッキパーツについて相談がある方は、メッキパーツ相談室へ
メッキパーツ相談室
A.画像を拝見させていただく限り、既にクロームメッキが取れて、下地のニッケルメッキを通りこしてうっすら銅メッキがでている状態です。サビはなく、バンパー部分も綺麗に保っている状態を考えると、研磨剤のはいったメッキ磨き剤で磨きすぎた結果だと思います。手入れをしたつもりが逆にアダとなったのでは? こうなってしまったら再メッキしか再生不能です。 今後は磨くのではなく、メッキングで定期的なコーティングを強くお勧めいたします。
クロムメッキの事についてもっと知りたい方は、
詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。