TOYOTAコンパクトカーの始祖『パブリカ』
画像参照元・トヨタ自動車公式企業サイト
目次
【世界的コンパクトカー時代】
皆さんの考える『コンパクトカー』の定義とはなんでしょうか?私の考える純粋なコンパクトカーとは『車格・価格・維持費』がミニマルである事が前提と思います。その根底にあるのはちょっと古臭い言い方ですが『大衆性』。分かりやすく言うと、手が届きやすい・コスパが良い・とっつきやすいって感じです。
いつの時代も人気が根強く、現代のモビリティーシーンでも専らコンパクトカーが人気です。日常生活での使用のみならず、スポーツ・オフロードなどの嗜好性の高い場面でもコンパクトカーの需要は増し、国産メーカーはもちろんBMWやアルファロメオと言った海外メーカーもコンパクトカーのラインナップを揃えてきています。
高価な内装やスポーツカーの様な足回り、高い4駆性能と言った付加価値が加わった、コンパクトスポーツ』や『プレミアムコンパクト』などと付加価値の高いちょっと贅沢な仕様のものも多いですね。
国内メーカーではやはりトヨタのコンパクトカーの種類の多さは豊富で、最近では低コストのコンパクトSUV『RAIZE(ライズ)』なんかが人気です。トヨタのこの引き出しの多さはやはり長年、大衆車としてのコンパクトカーを作り続けたノウハウがあるからでしょう。小さいけれど遊び心を忘れない素敵なクルマが多いですね。個人的にはスターレットGTとか大好きでした。
今回ご紹介するのは、そんなトヨタの豊富なコンパクトカーたちの源流でもある『パブリカ』です。一瞬歌手の米津玄師の顔を連想しそうですが、あれは『パプリカ』でこっちは『パブリカ』です。
パブリカは1954年から企画されたトヨタにとって最小クラスの車種です。その背景として50年代に政府から提唱されていた『国民車構想』です。簡単に言うと大衆車の開発生産の推進により技術の底上げと経済の活性化を目的とした、国主体のイノベーション事業の様なものだと思います。国産車を大衆車化させる事で地産地消的な効果もあり、外貨への流出防止も図っていたらしいです。
パブリカの名前の由来は『 Public Car(大衆の車)』を略した造語で、実はこれは一般公募によるものだそうです。自分の付けた名前の車が販売されるのですから、当選した方は嬉しかったに違いありません。
こうやってパブリカは名実ともに大衆車として華やかにデビューを果たしました。
【パブリカの主な仕様】
初代パブリカ(UP10型)の主なスペックです。形状としては2ドアのセダンタイプ・コンバーチブル・バン・ピックアップがあったそうです。意外と豊富なモデル展開に驚きですね。ピックアップとかカッコ良さそうです。
・空冷2気筒水平対向OHVエンジン
・排気量697cc
・全長3580mm
・全幅1415mm
・全高1380mm
・ホイールベース2130mm
・車体重量600kg〜640kg
・最高出力28ps /4300rpm
・最大トルク5.4kgf /2800rpm
初代パブリカが発売されたのは1961年6月と高度経済成長の真っ只中でした。クルマ作りのノウハウはあったにせよトヨタにとっては初の大衆車。「万人に受け入れられる車」を目指しましたが、実際には快適性や静寂性に乏しいものだったそうです。
当時は車自体がまだかなり高級なものでしたから『庶民でも買える』ことのメリットを考えると当然と言えば当然です。現代で言うと「自家用ジェット機が300万円で買えるけど、内装とか装備がイマイチだよ」みたいな感じでしょうか。分かりづらいですね。
初代はその装備の不完全さから思う様に販売台数が伸びなかったらしく、後に改良されたパブリカデラックス(700cc UP10D型/800cc UP20D型)が発売されたそうです。
【草食系な見た目は現代だとかなり『アリ』】
初代パブリカの外装を見てみると、これは意外にも旧車好きの人はニヤリとしてしまいそうな見た目をしています。デザイン的に角が少なく、まるで草食動物の様なほっこりした見た目です。
フロントマスクは例えて良いのか分かりませんが、全体的に日産のフィガロの様なちょっととぼけた愛嬌のある顔つきで、かなり『ウケ』の良さそうな顔をしています。ちなみにフィガロは日産が手掛けたレトロ調のパイクカーシリーズで、発売は1990年代と新しめですが、そのレトロ風な見た目から人気を博した車です。
話は戻って、可愛らしいフロントマスクは見方を変えれば、初代ポルシェ911の様にも見えます。なだらかなスラントノーズに対してポコっと上に突き出た両端の丸目ヘッドライトがそうさせているのでしょうか。特にUP20D型はフロントグリルがかなりコンパクト化されて見た目がスッキリしてるので、余計『911フェイス』の様に感じます。少し大袈裟すぎでしょうか。
このちょっと『カッコかわいい』見た目は現代においても、旧車好きにはもちろん車にそう詳しく無い人が見ても結構アリなのでは無いでしょうか。女性にも似合いそうですね。
【オシャレな外装】
外装を細かく見ていくと、細部の作りは意外にも秀逸で大衆車しては贅沢に感じる部分もあります。
特に私が気に入ったのがフェンダーミラーで、クリっとしたヘッドライトの形状に合わせる様に、まんまるなラウンドミラーがフロントフェンダー部分に鎮座しています。視認性はそれなりだと思いますが、思わず覗き込みたくなる小ぶりでクラシックなミラーです。
その他にはヘッドライトの縁、フロントグリル、フロントバンパー、ウインドウのモールなどメッキパーツも使用されています。
何となく欧州車のような洒落た外観をしているので、英国車・ドイツ車・イタリア車と並べて見ても見劣りしないと思います。私個人の願望ですが、それこそポルシェ911と並べてみたいですね。一緒に走ったら秒で千切られると思いますが。
【コンパクトな車体】
パブリカの真骨頂と言えばその小ささ。2ドアセダンタイプでありながら全長は3580mmとかなりコンパクトです。現行の国産軽自動車の車長ざ大体3300mmぐらいなので、それに近い数値のパブリカがどれだけ小さいかが分かりますね。
キャビン内部もなかなかコンパクトで絶妙な広さでありながら、しっかり厚みのある後部座席も確保しています。さすがに高級セダンの様な居住感は無いにしても、あると嬉しいポイントをしっかり抑えてくれている感じです。
セダンをキュッと小さくして装備を最小限に抑えた様なパブリカは、当時としては物足りない感じがしたかも知れませんが、今の時代のニーズにはマッチするミニマルカーだと思います。見た目の可愛らしさとコンパクトさが魅力なパブリカ。ずっと手元に置いておきたくなる様な愛嬌のある車ですね。
それにしても2ドアセダンの形状がなかなか面白くて「クーペとは違うの?」と思ってしまいそうですが、パブリカを見ると、セダンの形とキャパシティを持っていながら2ドアなのでまさに『2ドアセダン』と呼ばれる形状が頷けます。
この2ドアセダンは実用性の低さから後に4ドアセダンに淘汰されますが、個人的にはその独特なバランスの車体が好きです。
【トヨタ初のモノコックボディ採用車だった】
今では主流のモノコックボディ。実はトヨタにとって初めて採用したのがパブリカなんです。モノコックボディとはボディとシャシーが一体化になったフレーム構造で、軽量に作れる上に剛性(ねじれに強い)が有ります。またデザインの自由度が増したり衝撃吸収性能に優れている為、安全性や居住性が向上するメリットがあります。
まさにパブリカがたくさんの人に受け入れられるのには必要な要素を持ったフレーム構造なので、然るべくして採用されたのだと思われます。しかしその反面、構造が複雑なので修理が難しいなどのデメリットなどもあります。
【パブリカの中古相場は?】
そもそも中古の球数があるのか謎ですが、探したら数台ありました。しかも初代パブリカ。
初代パブリカの当時の販売価格は38万9000円。現在の価値で言うと200万ぐらいでしょうか。結構的を得た価格設定だと思います。
初代パブリカの中古価格はほぼ200万円オーバー。年式を考慮してもその価値価格を維持しているのは驚異的ですね。頑張れば買えそうな値段なので、本気で欲しくなります。しかも私が勝手に『911ルック』と呼んでいるマイナーチェンジ後のUP20D型もある様なので、更に購入意欲がそそられます。
このパブリカのデザインが心に刺さった旧車好き、オシャレ好きの方はお金に超余裕があったら購入を検討されてみては如何でしょうか。
【パブリカはトヨタを大きく成長させた】
トヨタにとっての初の大衆車『パブリカ』。コンセプト、ターゲット、製造技術のほとんどが初の試みだったせいか販売台数が伸び悩んだりと苦難はあったみたいですが、パブリカで得た経験はカローラに生かされるなどしてトヨタを大きく成長させたそうです。
またパブリカ自身も2代目となるKP30型で大きく進化しより洗練され、リッタークラスのモデルも加わりました。その後は後継モデルとしてパブリカ・スターレットが登場しました。今までのパブリカとは打って変わってスポーティな見た目が特徴的で、後の『スターレット』としてラインナップに名を残し続けました。
小さいながらもトヨタのみならず、日本の車社会を沸かせた『パブリカ』は間違いなく名車と言って過言では無いでしょう。今となっては見ることがなくなりましたが、今日すれ違うコンパクトカーはもしかしたら、そのDNAを受け継いだ『パブリカの子孫』かも知れません。
車に対して命の繋がりとか言うとおかしいかも知れませんが、パブリカの魂は今でもこの車社会に生き続けているかも知れません。その方がロマンがありますからね。
皆さんも道ゆくコンパクトカーを眺めながらパブリカを脳内で投影してみては如何でしょうか。以上トヨタ『パブリカ』のご紹介でした。
【旧車パーツのリクロームメッキ】
NAKARAIメッキで加工した旧車パーツ参考事例を掲載させていただきます。
ケンメリバンパー
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再メッキ前 |
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再メッキ後 |
ダットサン フェアレディ(SR311型)リヤバンパー
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再メッキ前 | メッキ剥離後 |
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板金修理後 | 再メッキ後 |
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再メッキ後バンパー |
ダルマセリカのメッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いダルマセリカの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれるくらいの錆びになってしまいます。
錆びてきていない初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの穴を埋める事で耐食性が上がます。
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