画像参照元…スズキ公式ページ
コミカルな50cc『スズキ・ギャグ』 どんなカテゴリーにおいても遊び心というのはいつまでも大事にしたいもので、例えばメーカーがちょっとしたおふざけのつもりで作ったモノでもユーザーが価値があると判断すればそれは立派な商品となります。
特にバイクの様な嗜好品にはそれが顕著に現れ、多少おふざけでも普段マジメなメーカーがちょっとだけ箍(たが)が外れたユーモラスなバイクはかなり魅力的に見えるものです。まさにそれを具現化したバイクこそが今回ご紹介する『スズキ・ギャグ』なのです。
基本的にバイクと言うのは、どの車種でも遊び心があるデザインや仕様のものが多いのですが、このギャグに至ってはまさにその名の通り、『ギャグ漫画の世界』から飛び出してきた様なとてもコミカルなバイクとなっています。
しかし車名にある『GAG(ギャグ)』とは決して悪ふざけの意味では無く、『演劇や舞台、映画などで観客を笑わせ楽しませる』と言う素晴らしい意味を含んでいます。よってこのギャグは決して単なるおふざけでは無く、長年ストイックにバイク作りに向き合ってきたスズキが見せるユーモアと、ニッチなニーズに応えると言う柔軟性が生み出したまさに『人を楽しませる為のバイク』と言えます。
当時のキャッチフレーズは『遊びゴコロをフルカウル』と斬新なコピー。バイクメーカースズキが本気で遊んだ結果生まれたギャグは、魅力溢れるバイクとして、絶版車となった現在でもバイク好き達に親しまれています。
目次
ギャグの登場
ギャグが発売されたのは1986年2月。フルカウルを装備した50ccバイクとして登場し、そのアイディアは周囲を驚かせました。レーサーレプリカをそのまま縮小させた様な出で立ちで、その再現性の高さも評価されました。後に追随する形でホンダはNSR50、ヤマハはYSR50を発表するなど、レーサーレプリカ風50ccバイクのちょっとしたブームとなっていました。
50ccと言う扱いやすい排気量ながらも本格的なレーサーレプリカの様なフォルムのため、乗車姿勢は非常に窮屈で決して万人ウケする様なバイクでは有りませんが『遊びバイク』として割り切れば劇的に魅力的に見えてしまう不思議。小さいながらもオーナーの所有欲と満足感を一気に満たしてくれる一台でも有ります。
またその人気は一過性のものでは無く、わずか2年で生産終了すると言う短命なバイクで有りながらもそのオリジナリティとユーモアに溢れるギャグは多くのファンを獲得し長きに渡って愛され続けたまさに『小さな巨人』です。
また、ヨシムラなどもアフターパーツを出すなどしてユーザーのカスタムの幅も広く、特別なチューンやドレスアップしたギャグも数多く存在しています。中にはスズキの名車『KATANA(カタナ)』デザインを模したカスタムキットまで登場し、そのキットを纏ったギャグは『GYAGATANA(ギャガタナ)』と呼ばれていました。
ギャグの主要諸元
車体型式
- 型式:LA41A
エンジン
- 型式:A403
- 種類:単気筒4ストロークSOHC
- 冷却方式:空冷
- 総排気量:49cc
- 燃料供給方式:キャブレター
- 内径(シリンダーボア):39mm
- 行程(ピストンストローク):41.8mm
- 圧縮比:10.3
- 最高出力/回転数:5.2ps/7000rpm
- 最大トルク/回転数:0.57kgf•m/6000rpm
- 使用燃料:レギュラーガソリン
- 始動方式:キックスターター式
- 点火方式:C.D.I.式
- プラグ型式:C6HSA
- エンジンオイル全容量:0.8L
- 変速機:リターン式4速MT
- 操作方式:フットシフト
寸法
- 全長:1540mm
- 全幅:610mm
- 全高:870mm
- ホイールベース:1080mm
- 最低地上高:115mm
- 車両重量:70kg
- タイヤサイズ(前):3.50−10
- タイヤサイズ(後):3.50−10
- タイヤタイプ:バイアス/チューブタイヤ
性能
- 乗車定員:1名
- 最小回転半径:2.5m
- 燃料タンク容量:7L
- 燃料消費率:121.0km/L
構造
- フレーム型式:バックボーンフレーム
- 動力伝達方式:チェーン
- キャスター角:26°00’
- 懸架方式(前):テレスコピックフォーク(正立)
- 懸架方式(後):スイングアーム式
- ブレーキ(前):油圧式ディスク
- ブレーキ(後):機械式リーディングトレーリング
遊び心満載のパロディバイク
名前からしてユーモア溢れるギャグですが、一見すると意外にちゃんとしたレーサーレプリカ風の出で立ち。『GSX-R風のフルフェアリングを標準装備としたレプリカのミニサイズ、レジャーバイクで、新しい需要をねらい、デザインにパロディ感覚を取り入れたファッションバイク』と、とにかくその再現性とユーモアには力を入れていた模様です。確かに見た目こそはカッコイイものの、そのサイズ感には思わず口元が緩んでしまうくらい可愛らしいもの。走らせずとも、プラモデル感覚で飾っておいても良いくらいのサイズ感です。
そのサイズ感でまずは掴みはOK。それでは細かい部分を見ていきましょう。件(くだん)のカウルについては小さいながらもしっかり作りこまれており、まさにGSX−Rを彷彿とさせる造形です。タンクやシートカウルも同様の高いクオリティで作られており、シートの厚みも全体的なサイズとバランスの取れた厚みです。
シートカウルのサイド部分(タンクの斜め下あたり)には『SACS』のデカールが貼ってあります。本来であればこれは『Suzuki Advanced Cooling System(スズキ・アドバンスド・クーリング・システム)』を指すものです。スズキ独自の油冷システムで主に搭載されたのは、それこそGSX−R750で、スズキの誇る画期的な冷却システムです。
まさかそんな技術が50ccのギャグにも搭載されているのか?・・・とよくよく見れば書かれているのは『Suzuki Advanced ”Comical” System(スズキ・アドバンスド・”コミカル”・システム)』という文字。ここでもオーナーは一本取られてしまう、なんともユーモラスな小ネタ。これが純正デカールなのだから余計に面白く感じてしまいます。
『4タイプのキャラクター』と称してそれぞれのキャラクターをボディカラーで表現。GSX−Rを模したホワイトに三種類ブルーを重ねた『レプリカ』、同じくホワイトをベースにシートとホイールにイエローの差し色のアーミースタイル『バトルプレーン』、シンプルで有りながら闘争心を掻き立てる鮮やかなレッドの『ポップアート』、麗かな薄ピンクに可愛らしいバニーのキャラデザインが施された『ピンクス』が用意されていました。
並べて見るとまるで戦隊モノの様にも見えますね。
意外と優等生なバイク
ここまでくるとちょっとした客寄せパンダ的に思われるかも知れませんが、ギャグもちゃんとバイクとして求められる性能もしっかりと発揮しています。
フレームは比較的、軽量化に優位性のあるバックボーンフレームを採用。搭載エンジンは空冷単気筒4ストロークSOHCでボアストロークは39×41.8mm、最高出力は5.2ps/7000rpm
、最大トルクは0.57kgf•m/6000rpmです。2ストロークエンジンに比べて非力さが否めませんが、4ストロークらしいマイルドさと燃費の良さはギャグにとってはアドバンテージとも言えます。カタログスペックでは驚異の燃料消費率121km/Lとなっており、タンク容量7Lを鑑みると、メンテナンスや状態に左右される部分でも有りますが、相当な航続距離が見込まれます。
ブレーキシステムにおいてもフロントには油圧式ディスクを採用するなど、制動装置もしっかりと手の込まれた一台となっています。
見た目にコミカルさを与えたからこそ、バイクとしての性能にはマジメに取り組んだ事が伺えるギャグは、人を楽しませるだけでは無く信頼できる相棒としても魅力的なバイクです。
愛車をいつまでも美しく!
以上、スズキの遊びゴコロ溢れる50ccバイク『ギャグ』のご紹介でした。サイズ感や造形の細かさ、そして随所に散りばめられたユーモアが魅力的なバイクで、絶版車となった現代でも一部のファンに深く愛され支持されているまさに名車とも言える一台です。
そしてギャグの様な魅力的な絶版車は、元気に走らせつつもいつまでも綺麗なままで大事にしていきたいものです。
もちろん、塗装のコーティングなどのメンテナンスも重要ですが、それと同じくらいメッキパーツへもコーティングを施し愛情を注いでいきましょう。メッキパーツも経年と共にくすみや錆が発生するので、何もせず放っておけば錆腐食が侵食して取り返しのつかない事になり兼ねません・・・
車やバイクに施されているメッキ加工は『クロームメッキ』と呼ばれるキズや錆に強い加工技術ですが、やはりこのクロームメッキも完璧ではありません。確かにクロームメッキの加工面自体は硬く滑らかになっていますが、手触りでは分からないほど無数の穴が表面に存在しています。その穴から水分が入り込み、下地にあるニッケルメッキを侵食しやがて表面のクロームメッキごと剥がれ落ちてしまいます。
それを防ぐ為に、メッキを磨いたりした後はメッキパーツにもコーティングを施してこの水分の侵入を防ぐ必要があるのです。
またメッキ磨きに使用する磨き剤も正しく選ぶ必要があります。メッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもメッキ専用で、しかもきちんとしたものを使わないと更に傷みやすくなり錆や劣化の原因になります。
愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為に、しっかりとメンテナンスを依頼するショップやケミカルを選び、愛車を美しく維持していきましょう。
愛車はどのKING?
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
クロムメッキ磨き剤「ミガキング」
クロムメッキ保護剤「メッキング」
クロムメッキ錆落とし剤「サビトリキング」
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クロムメッキの事についてもっと知りたい方は
詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。