銀メッキパーツ相談室

様々な分野の産業で使われている「銀メッキ」

 

私たちの身の回りにある物の多くに使われている銀メッキについて、具体的に「どのような機能性があるのか?」「どんな用途に使われているのか?」を解説していきます。

 

本記事を一読し、銀メッキへの理解を深めていきましょう。

 

【本記事を読むメリット】

銀メッキへの理解が深まる

銀メッキの特性が分かる

銀メッキの用途が分かる

銀メッキとは?

銀メッキは、金属の一つである銀を素材に薄い被膜として纏わせるものであり、銀が持つ様々な金属特性を素材に付与することができる加工処理のことを指します。

 

人体に触れても無害であることに加え、”白銀”とも呼ばれる白っぽい外観の美しさから、洋食器から自動車・バイク部品、医療機器や電子部品にも幅広く使われています。

 

メッキ処理は、主に耐腐食性や耐摩耗性の獲得のために用いられることが多く、外気に触れることで錆びてしまう鉄などの素材に、上から銀メッキ処理を施すことで、素材を守る役割を果たしています。

 

この他にも、銀が持つ金属特性を活かして様々な用途に銀メッキは利用されているのです。

 

それでは、どのような用途に銀メッキが用いられているかを見ていきましょう。

銀メッキの主な用途とは?

銀メッキの用途は、
「金属特性」の付与を目的とした工業用途

「美しい金属の質感」の付与を目的とした装飾用途

上記二つに分けることが出来ます。

 

それぞれの用途を表で纏めると下記のとおりです。

 

【銀メッキの主な用途】

応用範囲

応用分野

応用例

工業用途

電気機器

開閉器、遮断器

電子機器

コネクター、リードフレーム、導波管、銀めっき綿状、すべり接点、無線電話、自動車電装部品、PC、衛生テレビ

反射特性

照明機器、鏡

殺菌特性

外科設備、衛生器具

装飾用途

一般商品

宝飾品、時計、眼鏡、筆記具、ライター

食堂用途

食器類、テーブル備品

工業意匠

容器、金具

※表引用「SANMEI「表面処理」より」

 

銀が持つ多く金属の特性により、様々な製品に銀メッキが用いられていることが分かります。

 

このように、私たちの身の回りにある製品にも積極的に使われており、現代の生活様式を支える技術の一つとなっているのです。

 

次の章からは、私たちの生活を支える「銀メッキ」の特性について、詳しく解説していきます。

銀メッキの特性とは?

 

【銀めっきの特性と応用例】

皮膜特性

皮膜特性

応用例

物理的特性

ハンダ付け性

ボンディング性など

開閉器、遮断器コネクター、リードフレーム、導波管、銀めっき綿状、すべり接点、自動車電装部品など

電気的特性

電気伝導性、

低接触抵抗性など

光学特性

反射性など

照明機器、LED、鏡など

熱的特性

熱伝導性など

調理機器、厨房設備など

化学的特性 他

抗菌性・殺菌性など

外科設備、衛生器具、食器類、ドアノブなど

※参考文献:「株式会社大和化成研究所「銀のパワー再発見」より」

 

銀メッキが持つ特性は主に、「物理的特性」「電気的特性」「光学特性」「熱的特性」「化学特性」の5つに分けられます。

 

それぞれの特性の強みを見ていきましょう。

 

1.「物理的特性」

 

皮膜特性

皮膜特性

応用例

物理的特性

ハンダ付け性

ボンディング性など

開閉器、遮断器

コネクター、リードフレーム、導波管、

銀めっき綿状、すべり接点、

自動車電装部品など

 

【銀メッキの物理的特性の解説】

銀メッキのには、優れた「はんだ付け性」「ボンディング性能」「耐食性」「耐摩耗性」などの物理特性が備わっており、素材工業用途によっては非常に重宝される加工方法です。

 

はんだ付け性・ボンディング性とは、金属同士をつなぎ合わせる加工工程を意味しており、この性能が高い=部品同士の接着力が高い事を意味しています。耐久力に影響するため大変重要です。

 

銀の特性として、銅やステンレス鋼素材より錆にくいため、外気による腐食から素材を守るためにも用いられています。

ただし、硫黄に反応して表面が黒く変色してしまうという弱点が存在します。

 

また、銀は金属の中でも潤滑性に優れた材質であるため、回転や関節部品等に使用することで運動効率を補いつつ素材を守ることも可能です。

2.「電気的特性」

 

皮膜特性

皮膜特性

応用例

電気的特性

電気伝導性、

低接触抵抗性など

開閉器、遮断器、コネクター、リードフレーム、導波管、銀めっき綿状、すべり接点、自動車電装部品など

 

【銀メッキの電気的特性の解説】

 

銀は金属素材の中でも一番通電率(電気伝導率)が高い特性※を持ちます。

※(メッキに使われる金属と電気伝導率:Ag(銀)>>Cu(銅)>>Au(金)>>Al(アルミ))

 

その電気抵抗の低さを活かして、電子部品の接点や管・フレームなどに使われています。

家電製品の効率化・エコ化が進む中で、コンセントから通電された電気を少しでもロスさせることなく、各部品に通電させるために使われており、電気機械の内部パーツにも多く利用されているのです。

 

近年注目されているのは、特に通電ロスを下げる必要のある「電気自動車の充電コネクタ」等の充電パーツであり、電気伝導率の高さ=作業効率に直結するため、活発に研究されています。

 

3.「光学特性」

 

皮膜特性

皮膜特性

応用例

光学特性

反射性など

照明機器、LED、鏡など

 

【銀メッキの光学特性の解説】

銀メッキには、光を反射する光沢性※が備わっており、これを利用した「LED反射板」や「案内板」等へのメッキ処理も見られます。

※銀は「鏡面性」とも呼ばれる鏡のような高い反射性能を持ちます。

 

また、高周波性(マイクロ波等を伝えやすい)という特性もあるため、防災無線等の部品に用いられることも多い。

※この他にも、オーディオケーブルに銀メッキを施したものもある。

4.「熱的特性」

 

皮膜特性

皮膜特性

応用例

熱的特性

熱伝導性など

調理機器、厨房設備など

 

【銀メッキの熱的特性の解説】

銀は熱伝導性が高いことでも知られており、金属の中で最も熱伝導率が高い物質です。

 

(※銀は鉄の6倍近い熱伝導率を持っている)

各種金属の熱伝導率

360 Kcal/m・h・℃

300

330

アルミ

190

ニッケル

79

白金

60

61

ステンレス

14

※表引用:「オーエム産業株式会社「熱伝導性」より」

 

そのため、厨房設備や調理器具、食器※といった用途に積極的に利用されています。
(※アイスが溶けやすいスプーン等の熱伝導率を活かした食器)

 

調理器具以外では、ラジエーター等の冷却パーツの放熱効率を上げるために用いられる他、高温度下でも硬度や摩耗性が低下しない部分も高く評価されています。

 

5.「化学的特性」

 

皮膜特性

皮膜特性

応用例

化学的特性 他

抗菌性・殺菌性など

外科設備、衛生器具、食器類、ドアノブなど

 

【銀メッキの化学的特性の解説】

 

銀が持つ特性の中で特に注目すべきは、「人体に優しい性質でありながら、銀イオン効果で細菌やウイルスに対する抗菌性能を持っている」という点です。

 

銀イオンの働きは、「抗菌」と「殺菌」の二つを持ち合わせた強力な物であり、ウイルスや細菌が死滅する環境を作り出すことで、増殖を防ぎつつ、排除する力があるのです。

 

そのため、病院の手術室や外科設備、歯科衛生器具、ドアノブやエレベーターのスイッチ等、様々な場所に用いられています。

 

更に、銀イオンは花粉やPM2.5、ハウスダスト等のアレルゲン物質の活動を抑止する力を持ちながら、雑菌の繁殖を防ぐため防臭効果も持ち合わせています。

 

空気清浄機やフィルター、マスク等にも銀が持つ金属特性を活かした製品が発売されているのです。

 

その他、銀メッキの特性

1.「やわらかい皮膜」

 

銀メッキは比較的柔らかい金属皮膜です。

この柔らかさを活かして、ステンレス製のネジのネジ山が摩擦によって動かなくなる「かじり」を防止するために用いられることがあります。

2.「硬質銀めっき」

柔らかい金属皮膜である一方、硬度を向上させることも可能です。

摩耗の激しいパーツに使われる際には、硬質銀メッキと呼ばれる種類の処理を施すことで、摩耗性を向上させ、パーツ寿命を引き延ばすことができます。

 

3.「楽器の音色が変わる」

楽器の表面に使われている「ラッカー塗装」や「メッキ」の種類によって、楽器自体の音色にも変化が生じます。

 

【塗料(めっき)の種類と音色について】

塗装の種類

特長

ゴールドラッカー

シャープでパワフルな音。

クリアラッカー

ソリッドで暗めの音。フォルテの音抜けが良いと感じられる。

金メッキ

やわらかい、比較的目立つ音。銀メッキよりは暗めの音。

銀メッキ

やわらかく明るめの音。楽器自身の特性が直接現れ、より細かなニュアンスが出せる。

※表引用「YAMAHA「トランペットの選び方材料や塗装から選ぶ 塗装も音色に影響する」より」

 

楽器が音を奏でる際には、管を振動させて音を作り出すため、管の材質は音と密接に関係しています。

 

基本的に塗装やメッキは、汚れや錆といった劣化から楽器を守るために用いられていますが、金属の被膜で覆う都合上、音(音波)の発生に少なからず影響してくるという訳です。

 

銀メッキの歴史について

 

現代で活躍している銀メッキですが、その歴史は1840年代から始まります。

 

1805年にボルタ電池を使った電解メッキが登場してから、世界中の科学者によって電解メッキの研究が活発に行われるようになりました。

 

1840年には電解金メッキ・銀メッキがイギリスで発明され、特許申請されています。

その後、日本に伝来し当時の征夷大将軍「徳川家定」の甲冑金具に電気メッキが用いられたようです。

 

1845年には、イギリスで洋銀又は銀メッキを用いたスプーン、フォーク、バターナイフ等の製造が発表※されており、大量生産や一般国民への普及が始まって、今日の私たちの生活を支えるに至っています。

(※参考文献:「株式会社大和組 定方金蔵 著「装飾メッキ(1960年) 2-1 銀 メッキの歴史」より」)

 

まとめ:銀メッキは「物理特性、滅菌性、熱・電気伝導率」に優れた特性を持っている

今回は銀メッキの用途や特性についてご紹介させて頂きました。

 

銀が持つ優れた特性の数々を素材に付与できる銀メッキ処理は、様々な用途に用いられて私たちの生活を支えています。

 

銀の金属特性は、メッキの登場前から盛んに研究されてきましたが、素材全てに高額である純銀を用いるのは非効率でした。

 

そこへ、メッキ処理という加工方法が発見され、薄い金属皮膜で素材を包むことにより、銀の持つ金属特性を与えられるのは世紀の発見であり、産業発展に貢献しています。

 

銀メッキの他にも、金属の種類を変えることで様々な特性を素材に与えることが出来ます。

 

NAKARAIで銀メッキしたパーツの一例を掲載させていだきます。

銀メッキ参考画像

骨董品の再生銀メッキ

銀メッキ前1銀メッキ後1
再生前再生銀メッキ後

 

銀メッキ前2銀メッキ後2
再生前再生銀メッキ後

 

銀メッキ前3銀メッキ後3
再生前再生銀メッキ後

 

銀メッキ3銀メッキ前4
再生前再生銀メッキ後