長年のメッキ技術で愛車を蘇らせる!
『史上”最鏡”』でお馴染みの弊社、メッキ工房NAKARAI。様々なメディアでも数多く取り上げてもらい、ありがたい事に日々沢山のご相談を頂いております。
メッキ加工のプロとしてたくさんのクルマ・バイクのメッキパーツを手掛け、パーツの再メッキで新車当時の輝きを取り戻したり、オリジナル外装よりもより魅力的に仕上げるなどオーナー様の悩みや困りごとを解決させて頂いております。
今回は取材の一環として昭和を生きた魅力ある絶版車のパーツを再メッキ&補修メッキをさせて頂きました。
車種は『1968年式ヤマハHS1』。ヤマハの誇る90cc並列2気筒2ストロークエンジン搭載で、オートルーブ・ツインキャブ・5ポート排気システムを搭載した画期的な本格派スポーツバイク。ヤマハ2ストの軌跡を肌で感じられる隠れた名車です。
施工パーツはタイヤフェンダー。状態としてはくすみや点サビの目立つ、いわゆる経年劣化によって発生しがちな、決して珍しく無い状態。更にはサビの侵食によってフェンダーの一部に穴が空いてしまっているという致命的なダメージが。
素材は今となっては珍しいスチール製。硬く頑丈ではありますが、酸化しやすい為サビによる侵食と劣化を顕著に受けやすい素材です。現に今回の硬いスチールフェンダーもサビによって穴が空いてしまっている為、これほどまでにサビというのは侮れないのです。
それではこのHS1のフェンダーで、再メッキ&補修メッキの流れを解説させて頂きます。
目次
メッキについて知ろう!
そもそもメッキとはなんなのか?そこから分かりやすく解説していきます。
メッキとは表面処理技術のひとつで、金属・非金属問わず表面に薄い金属の膜を作ったものです。意外と知られていませんが、漢字では『鍍金・滅金』と書きます。
このメッキ加工技術はとても歴史が古く、発祥については諸説有りますが日本における最古のメッキ加工は4〜5世紀頃の甲冑に施されたとされています。しかしこれについても不明な点が多く、起源や日本への伝来に関しては謎の多いミステリアスな表面加工技術なのです。
そんなロマンある技術は、煌びやかな見た目と素材を保護するという面で車やバイクに使用に非常に適しており、現代に至るまで長く採用され続けています。
その種類も様々で主に車やバイクに使用されているのは『クロームメッキ』という種類のものです。クロームメッキとは読んで字の如く金属の一種である『クロム(Cr)』を使用したメッキの事です。
特性としては高硬度・耐変色性・耐蝕性・防錆性に優れたメッキの中でもかなり高品質な分類に入ります。また表面も非常に滑らかで、ツルンとした触り心地で金属らしからぬ優しい質感も特徴です。このような特性から野外保管や走行の多い車やバイクのパーツに適しており、ほとんどのメッキ加工がこのクロームメッキ加工が施されているのです。
皆さんは既にご存知かも知れませんが、このクロームメッキの表面は非常に滑らかでは有りますが、手で触れても分からないレベルの無数の穴が空いているのです。もちろん肉眼でもその穴を見ることは出来ません。
その無数に空いた穴に水分や汚れといったものが蓄積していきます。その汚れや水分が侵入した先にあるのはクロームメッキ加工の下地となるニッケルメッキです。このニッケルメッキはもちろんクロームメッキよりも防錆性に乏しく、水分や汚れによってサビてしまいます。それが点サビとして表面に現れてしまうのです。
切り接ぎ板金で穴を補修
パーツに穴が空いてしまっていては再メッキを施しても完成とは言えません。NAKARAIでは独自のネットワークを駆使して切り接ぎ板金を実施。今回は穴の空いた部分ごとフェンダーの端部を切断し、切り落としたフェンダーの形状と同じ形状の部品を製作。溶接する事で復元を実施しました。
もちろん板金補修も別途見積もりが必要で、モノや状態によっては施工できない可能性がありますのでご注意ください。
再メッキで輝きを取り戻す!
主な再メッキのステップは以下の通りです。
- 1.メッキ剥離
- 2.バフ研磨
- 3.銅メッキ
- 4.再研磨
- 5.ニッケルメッキ
- 6.クロームメッキ
今回のフェンダーは特にリヤフェンダーの点サビが酷く、メッキを剥離すると素材にまで小さなクレーターが無数に発生していました。これこそが点サビの侵食性の恐ろしさ。そして先に補修した穴もこのサビ腐食の末路なのです。
大穴が空かないにしても、点サビのクレーターが深ければバフによる研磨でもその穴を消すことは一苦労。場合によっては完全に表面が滑らかになるのは難しい場合もあります。なかなか消えないニキビ跡と同じです。
そういった場合は下地のひとつでもある銅メッキを厚く施工する事もありますが、やはりその分コストが割増になります。また滑らかな表面の仕上がりにも若干影響します。こちらも人肌で言えばファンデーションの厚塗りの様な状態になるので、パーツの形状や状態によっては不自然になる事も懸念されます。
そうなってくると素材のサビ穴の深さが一定の侵食度合いでは、再メッキではなく『補修メッキ』をオススメいたします。
補修メッキで埋めて輝きを取り戻す!
長くメッキ加工をしていると様々な局面に立ちます。今回の様に再メッキでは埋まらないサビによってできてしまった穴などは、まさに典型的なパターンのひとつでもあります。もちろん、そこで諦めたり妥協しないのがプロとしてのプライドです。
再メッキでは完全に補修が見込めない場合は、『補修メッキ』が効果的です。サビによって空いてしまった穴をパテで埋めて補修するという技法で、一見簡単そうに聞こえますが電気メッキ用の『特注パテ』と『通電塗料』という、一般的に使用されるポリウレタンパテとは全く違う補修剤を使用しています。もちろんこれらを表面に塗るのでその分厚みはでますが、比較的滑らかで自然な仕上がりとなります。
補修メッキは再メッキに比べて費用が2〜3倍になり、パテ埋め&塗装の分厚みがおよそ2倍ほど増しますので、事前にご相談をお願い致します。
愛車をいつまでも美しく!
以上がヤマハHS1のタイヤフェンダーを施工例にした再メッキ&補修メッキの解説になります。かなり美しい仕上がりになりましたが、これで終わりではありません。この後に必要になってくるのが、メンテナンスです。
冒頭でも触れましたが車やバイクに施されているメッキ加工は『クロームメッキ』と呼ばれるキズや錆に強い加工技術ですが、やはりこのクロームメッキも完璧ではありません。確かにクロームメッキの加工面自体は硬く滑らかになっていますが、手触りでは分からないほど無数の穴が表面に存在しています。その穴から水分が入り込み、下地にあるニッケルメッキを侵食しやがて表面のクロームメッキごと剥がれ落ちてしまいます。
それを防ぐ為に、メッキを磨いたりした後はメッキパーツにもコーティングを施してこの水分の侵入を防ぐ必要があるのです。
またメッキ磨きに使用する磨き剤も正しく選ぶ必要があります。メッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもメッキ専用で、しかもきちんとしたものを使わないと更に傷みやすくなり錆や劣化の原因になります。
愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為に、しっかりとメンテナンスを依頼するショップやケミカルを選び、愛車を美しく維持していきましょう。
メッキ磨きにはミガキング!
メッキ磨きに重要なのは如何に少なく磨くかです。磨くという行為の回数を減らす事がメッキの寿命を左右しますので、少なければ少ないほどメッキには良いのです。
しかし、汚れやくすみを綺麗にするには力を込めて何度も磨かなければ落ちないというジレンマに陥ってしまいますね。
そんな問題を解決してくれるのがNAKARAIの『ミガキング』です!
ミガキングはその名の通り、メッキを磨く為に開発された専用のケミカルです。意外と繊細なメッキの表面を極限まで優しく磨く事ができるメッキの磨き材で、少ない磨き回数で効率良く汚れやくすみを除去してくれます。
ミガキングの使い方は、同梱の専用クロスに適量を垂らしとにかく優しく撫でる様に磨くだけです。
経年で劣化したメッキパーツにももちろん効果的ですが、新車購入時に傷のない状態のメッキパーツに使用していくのも非常にオススメです。間違ったお手入れ方法で傷ませず、ミガキングの様なメッキ磨きに特化した正しいケミカルを磨いて上げるのがメッキの寿命を左右します。
メッキの保護材にはメッキング!
愛車のメッキがメッキングで美しく仕上がった所で、表面に保護材を塗ってあげましょう!NG行為でもあった様に研磨剤入りのワックスを使えばせっかくの美しいメッキが台無しになってしまいます。
そこでメッキの保護に適したケミカルが『メッキング』です!
メッキングにはそういったメッキに優しくない成分である研磨剤を含まないメッキの保護剤です。メッキの表面にダメージを与えず効果的に保護皮膜を作る事が出来ます。
しかもメッキングによって出来た保護皮膜はクロームメッキの表面にある無数の穴を埋める事ができ、クロームメッキの弱点を補う事が出来るのです。使い方としては専用のクロスでとにかく薄く薄く!が基本です。
メッキング塗布後は、酸素・水・油・埃などの腐食の原因を寄せ付けない保護膜を形成する事です。その効果については梅雨時期に野外放置しても保護効果を発揮します。クロームメッキの天敵である水分から守り錆を発生しにくくしてくれるのです。屋外保管が多い車やバイクであればかなり重要な性能です。
100%食い止める事は難しいですが、定期的に重ね塗りをしてあげれば永続的に錆から守ってくれるので新車購入時にこそメッキングによるお手入れが重要になってきます。
愛車はどのKING?
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
クロムメッキ磨き剤「ミガキング」
クロムメッキ保護剤「メッキング」
クロムメッキ錆落とし剤「サビトリキング」
メッキ加工の事ならNAKARAI
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クロムメッキの事についてもっと知りたい方は
詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。