【アメリカンなY30セドリックワゴン】
数多くの旧車を見ているとそれぞれ個性が光っており、現代でさえもより輝いて見えるその外観は多くの車好き・旧車好きのハートを掴んで離しません。そんな時代を越えた旧車を手に入れたオーナーたちは日々古き良き相棒に心を潤されながら、豊かな日常を送っている事でしょう。
今回ご紹介するのは日産『Y30型セドリックワゴン』。セドリックと言えば日産を代表するグロリアと姉妹車であり高級志向のセダンでセドリックとグロリアを併せて『セド・グロ』という呼称で呼ばれていた事で有名です。実はそのセドリックにもワゴンタイプが存在していたのをご存知でしょうか。
セドリックワゴンは低重心かつロングボディのいわゆるステーションワゴンで、セダンの様なコンフォートな乗り心地とワゴンの積載性を持ち合わせたいる為、日常での様々なシーンで重宝されるボディタイプの車として重宝されていました。現代でいうところのSUV的な位置づけででしょうか。特に古いステーションワゴンは渋い感じがして今見るとその外観と雰囲気には新鮮さも感じます。
Y30型は1983−1999年まで生産されていたモデルで、先代モデルまで搭載されていた直列6気筒に代わり、当時国産車としては初のV型6気筒エンジンを搭載した事で大きな注目を浴びたモデルでもあります。この刷新されたV6エンジンは当時のアルファロメオのV6エンジンを参考にしたとして、Y30型以降もこのV型エンジンは踏襲され続け、セドリックの歴史においても非常に重要なモデルでありました。それと同時に日産にとっても新たなる挑戦、或いはターニングポイントとなるのがこのY30型セドリックだったと言えます。
ちなみにセドリックセダンは1983−1987年まででY30型の生産は終了し、Y31型へフルモデルチェンジを果たしていましたが、セドリックワゴン(グロリアも含む)はその間も販売が続き1999年まで生産されていた人気モデルでもあります。
セドリックワゴンの特徴と言えばその日本車離れしたアメリカンな雰囲気。シンプルでありながらダイナミックな外観と、無骨で角ばったデザインは他メーカーのそれとは一線を画すものでした。
今回ご紹介するのはそんなセドリックワゴンの中でも異彩を放つ『ベンコラ』と呼ばれるセドリックワゴン。ベンコラとはベンチシートとコラムシフトの組み合わせてであり、これもまたアメリカンチックな雰囲気を更に醸し出しています。それでは日産Y30型『セドリックワゴン』の魅力についてたっぷりと語っていきたいと思います。
目次
【Y30セドリックワゴンの主要諸元】
Y30型セドリックにはディーゼル仕様のものも存在していましたが、1994年のマイナーチェンジを境にディーゼルエンジンは無くなり、ガソリン車のみとなりました。よってディーゼルのセドリックワゴンはかなりの希少車としてマニアの間でも高値で取引されている様です。
今回ピックアップしたのは1999年式のセドリックワゴン2.0 V20E SGL リミテッド(ガソリンエンジン)のものです。
〈車両型式〉
・型式:E−WY30
〈エンジン〉
・型式:VG20E
・種類:V型6気筒OHC
・冷却方式:水冷
・総排気量:1998cc
・燃料供給方式:ニッサンEGI(ECCS)電子制御燃料噴射装置
・内径(シリンダーボア):78mm
・行程(ピストンシリンダー):69.7mm
・最高出力/回転数:85kW(115ps)/6000rpm
・最大トルク/回転数:16.4kgf•m(160.8N•m)/3600rpm
・トランスミッション:4AT
・使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
〈寸法〉
・全長:4690mm
・全幅:1690mm
・全高:1540mm
・ホイールベース:2730mm
・トレッド(前):1430mm
・トレッド(後):1400mm
・車両重量:1490kg
・乗車定員:8名
・燃料タンク容量:60L
・最小回転半径:5.5m
・タイヤサイズ(前後):195/70R14
〈燃料消費率〉
・10.15モード:9.4km/L
〈構造〉
・駆動方式:FR
・懸架方式(前):独立懸架ストラット式
・懸架方式(後):リーフスプリング式
・ブレーキ(前):ベンチレーテッドディスク
・ブレーキ(後):リーディングトレーディング
カラーリングはダークブルーパール・イエロイッシュシルバーパールメタリック・ピュアホワイトの標準カラーに加えて、ホワイトパールツートン3コートパール・フォレストグリーンパールツートンといったオプションカラーも設定されていました。このカラーバリエーションの豊富さもセドリックワゴンの魅力のひとつとも言えます。
Y30系セドリックに搭載されたVG20Eエンジン。2.0リッター12バルブV型6気筒の打ち出す最高出力は115ps。意外にも排気量展開が無く(ディーゼルは2.8L)基本的な性能はモデルごとで大きな違いは無かったと思われます。
VG20EエンジンのVGとは『Very Good』の略で、日産の誇る新世代の高出力エンジンを意味するPLASMA(プラズマ)の愛称でも知られていました。当時としては初の量産型V6エンジンとして注目を浴びました。FF化が進む自動車業界を生き抜くにはコンパクトなレイアウト化が可能なV型エンジンの順次展開が必要とされていました。そんな中日産はV型エンジンの普及を予見しまずは高級車・高性能車を象徴するエンジンとしての位置づけで販売戦略を試みたそうです。当時のキャッチコピーも『V6は高級車の証し』というフレーズを採用し、V型エンジンのブランディング戦略に尽力していました。
【無骨なスタイリング】
セドリックワゴンの最大の特徴はアメリカンチックなシルエット。直線を基調としたフラットデザインのボディは無骨さと逞しさを感じさせてくれます。
フロントフェイスも国産車離れした男前な印象です。角ばったヘッドライトと大きなグリル。ボンネットの中央にはセドリックのエンブレムを模したオーナメントが装着されています。更には大きく前へ突き出たバンパーなど、厳つめなフロントフェイスですが威圧感というよりは荘厳な大人の雰囲気のあるデザインとなっています。
ルーフ部分にはルーフレールも装着されており、積載性の拡張も可能ですがデザイン的にもアクティビティを予感させます。レールが後部座席真上からラゲッジスペースまでのショートタイプであるのもまた洒落た見た目となっています。
【ベンコラがもたらすゆったりとした空間】
さてここからはいよいとベンコラとしてのセドリックワゴンの魅力について追求していきます。冒頭でも言った様にベンコラとは『ベンチシートとコラムシフト』の組み合わせを言います。このスタイリングはそれこそ古いアメ車を彷彿とさせ、一部のセドリックファンにも人気の高い仕様となっています。
私も何を隠そう自称コラムシフト愛好家として、こよなくコラムシフトの独特なスタイリングを愛している変人の一人です。再三に渡って言ってますが、大きな車体をあの棒切れみたいなシフトで操る感覚が堪らなく唆られます。ベンコラとわざわざ相性がつくほどですから、やはり私と同じ様なコラムシフトマニアも確実に存在するに違いありません。
コラムシフトによって余分なシフトゲート・センターコンソールは省かれ、ベンチシートをフロントに据える事で広々とした居住空間へと還元されました。高級セダンのゲストシート(後部座席)の様な快適性が運転しながら得られるとして非常に好評だった様です。
また外観のデザインが角ばった形状をしているおかげで、ラゲッジスペースを含む室内空間は開放感があります。車体の大きさが故の燃費の悪さや機動性の低さなどがデメリットではありますが、その短所を霞ませるほどの魅力として評価されている部分でもあります。
コックピットもまた趣のある景観となっています。スマートなコラムシフトと相性の良い細いステアリング。角ばったメーターフードにはスクエア型のスピードメーター。古い高級時計の様なメーターに水色のラインが映える斬新なデザインとなっています。
【8人乗りのカラクリ】
セドリックワゴンはステーションワゴンタイプでありながら、乗車定員は8名(SGLは7人乗り)という懐の深さを持っています。先ほどご紹介したベンコラはSGLリミテッドのみの仕様で、前3人・後3人に加えてラゲッジスペースに折り畳み式の小さなサードシートが隠されています。
面白い事にこのサードシートは進行方向に対して反対側(つまり後方)を向く様になっており、常用シートというよりも突然の増員に応急的に対応ができる様なエマージェンシーシートとしての位置づけが正しいかと思います。このサードシートの作りも繊細な作りをしており、高級感のあるレザー調にされ、まるで小さなカウチソファを置いた様な少し可愛らしいデザインがファンの間で人気でした。
デザイン性や積載性ももちろんですが、居住空間の快適性・いざという時に8人乗りに変わる利便性はセドリックワゴンにとって大きなアドバンテージとなり、他社のツーリングワゴンとは差をつけるものとなっていました。
【余裕のある旧車ライフが待っている】
如何でしたでしょうか。セドリックワゴンの魅力はまだまだ語り尽くせていませんが、旧車としての見応えのある無骨なデザインとアメリカンチックな雰囲気。更には開放感のある室内空間とカラクリ屋敷の様に突如として登場するサードシートなど、車好き・旧車好きには堪らない個性で溢れた1台だと思います。
外観的にも内装的にも余裕を感じるセドリックバン。かなりレアな車となってしまいましたが、日産の長い歴史においても唯一無二の存在だと言えるでしょう。
以上、日産Y30型『ベンコラ・セドリックワゴン』のご紹介でした。
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NAKARAIメッキで加工した旧車パーツ参考事例を掲載させていただきます。
ケンメリバンパー
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再メッキ前 |
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再メッキ後 |
ダットサン フェアレディ(SR311型)リヤバンパー
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再メッキ前 | メッキ剥離後 |
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板金修理後 | 再メッキ後 |
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再メッキ後バンパー |
旧車パーツのメッキ手入れ
クロムメッキパーツの多い旧車パーツの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれるくらいの錆びになってしまいます。
錆びてきていない初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの穴を埋める事で耐食性が上がます。
クロムメッキ保護剤「メッキング」
クロムメッキ錆落とし剤「サビトリキング」
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(POPデザインは バイク/車/トラック とありますが中身は一緒です)
メッキング&サビトリキングの購入を検討しているが、その前にメッキパーツについて相談がある方は、メッキパーツ相談室へ
メッキパーツ相談室
A.画像を拝見させていただく限り、既にクロームメッキが取れて、下地のニッケルメッキを通りこしてうっすら銅メッキがでている状態です。サビはなく、バンパー部分も綺麗に保っている状態を考えると、研磨剤のはいったメッキ磨き剤で磨きすぎた結果だと思います。手入れをしたつもりが逆にアダとなったのでは? こうなってしまったら再メッキしか再生不能です。 今後は磨くのではなく、メッキングで定期的なコーティングを強くお勧めいたします。
クロムメッキの事についてもっと知りたい方は、
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