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デリバリーバイクの代表格『ジャイロアップ』
今回は今までとはちょっと雰囲気の違った一台、ホンダ『ジャイロアップ』をご紹介。知る人ぞ知るホンダのビジネスバイクで、フロント1輪リア2輪の3輪スクーターの俗に言うスリーターと呼ばれるバイクです。スリーターは2輪スクーターに比べて積載性や安定性に優れたビジネスバイクとして様々なシーンで活躍する、まさに働く人を支える為に作られた様なバイクです。
コロナ禍の影響で、他人との接触を最低限に抑える事が必要となった現代で飲食店の経営が落ち込む一方で、反比例する様に需要が増えたのがデリバリーサービス業。緑色のロゴが特徴的な某有名デリバリーサービスを始めとして、様々なオンラインでのフード注文&配達を担うサービスが次々と登場しています。まさに世はデリバリー戦国時代。
最近では地域によってはだいぶ外出制限が緩和されているので、いわゆるステイホームを積極的に実施していた頃に比べて需要も落ち着きつつ有りますが、家から出なくて良いという利便性から『新たな外食のカタチ』として定着しています。
しかし今でこそこのデリバリーサービスが注目されてはいたものの、日本には古くから『出前』という文化が有り、こんな時世になる前は各店舗で電話・オンライン注文を受け、店舗スタッフが配達に行くというサービスは存在していました。
その配達に使われているのはやはり機動性が高く広い駐車場を必要としないバイクが重宝されてきたのです。ジャイロアップもその役割を担うデリバリーバイクとして幅広いジャンルの飲食店などで活躍している一台です。
出前という文化
「Japanese DEMAE!」そんな声も聞こえてきそうなほど日本の出前文化と言うのは古い歴史を持っています。『出前』という言葉が広く使われる様になったのは江戸時代中期にあたる1850年代前半〜1860年代後半だったらしく、当時の江戸で流行していた蕎麦をお客の元へ届けていたのが始まりとされています。
出前によって配達される食物は蕎麦から次第に、鮮魚や野菜といった鮮度が命の食材。既に調理した煮物や寿司など幅広く取り扱う様になり、まさに現代でいうデリバリーやファストフードの『はしり』とも言える商売だったのです。
この出前文化は時代を越えて様々な飲食店に根付き、特に昭和〜平成にかけては蕎麦屋はもちろんのことラーメン屋や寿司屋、鰻屋などが主に出前サービスを行っている飲食店の代表格として多く挙げられます。
私が小さい頃も休日に父親がラーメン屋の出前をよく取っていたのですが、食べ慣れた味でも出前となるとなんとなく特別感というかちょっとしたイベントみたいな感じがしていつもより美味しく感じていました。きっと皆さんにもそんな経験はあるのでは無いでしょうか。
そんな古い歴史となんとなく味わい深い出前文化ですが、現代では冒頭にもいった様なデリバリー専門のサービスの登場により、多くのジャンルをスマホひとつで好きな時に好きなモノを食べれる様になったのです。
まさに現代の『出前』として生活に根付いたこのサービスを支えているのも、ジャイロアップを始めとしたバイクたちなのです。
ジャイロアップとは
さて、ここまで全くバイクの話とは関係なさそうなデリバリーについて熱く語ってしまいましたが、バイク好きにはグルメ好きが多いと思うのできっと許容してくれるはず。と性善説を信じてそのまま本題に入ろうと思います。
最近のデリバリーサービスでは自転車で配達される方が多いかも知れませんが、店舗によるデリバリー自体はやはりバイクの方が多く、そのほとんどがスリーターと呼ばれる3輪スクーターなのです。
そしてホンダのスリーターの代表格と言えばやはり『ジャイロシリーズ』です。車名である『ジャイロ(GYRO)』とはGreat Yours Recreational Original(偉大・貴方の・娯楽・独創)の頭文字を取ったものです。レジャーからビジネスシーンまで様々なニーズに応える独創的で素晴らしいバイクという意味でしょうか。
ジャイロシリーズは主に『ジャイロX』『ジャイロアップ』『ジャイロキャノピー』が存在しそれぞれ個性的で実用性の高いモデルでした。今回は『ジャイロアップ』に焦点を合わせていますので、他の2つモデルについては割愛させて頂きます。
ジャイロアップが登場したのは1985年10月。先に登場していたジャイロXは悪路に強いなど走行性能の高さが売りだったのに対し、ジャイロアップはとにかく積載性と整地走行の安定性に優れたモデルだった事から、より安全に商品を運搬する事に特化する事でビジネスシーンにマッチしたモデルです。
スリーター全般に言える事ですが、フロントとリアはセパレートし、回転軸で連結する事でバンク時にはフロントだけ傾き荷台を含むリヤ部分は正立したまま安定するという構造です。またジャイロシリーズについてはラバースプリングによる適切な復元力を保つナイトハルト機構を採用する事で機敏でスムーズなコーナリングが可能とされており、もちろんジャイロアップにも搭載されています。
ジャイロアップの特徴と言えば低いリアデッキです。この低床設計のリアデッキのおかげで頻繁な積み下ろしも容易で、後付けで『オカモチ』の様なボックスも装着する事が可能です。優れた軽労性と拡張性を持ち合わせた事で、ビジネスバイクとしてのポテンシャルをより高めています。
車名は『アップ』なのにリアデッキは『ダウン』じゃないか!とツッコミたくなりそうですが、積載性が『UP(アップ)』したという意味らしいです。
外観としては昭和のスクーターの雰囲気が漂う角ばったデザイン。スクエア型のヘッドライトとウインカーがなんともノスタルジックで、フレームに装着されたカウルも直線的ななんとも野暮ったいデザインです。(褒め言葉です)
ボディのロゴも初期のジャイロアップは角ばった独特の書体で『HONDA GYRO UP』と大きく貼られておりなんとも味のある感じですが、マイナーチェンジを重ねる事にこのロゴも小さく丸みを帯びた可愛らしいデザインへと変わっています。
しかし全年式に渡って大きな車体デザインの変化は無く、どの年式を選んでもノスタルジックな雰囲気を感じるのも、またジャイロアップの魅力のひとつと言えるかも知れません。
ジャイロアップ(GYRO UP)の主要諸元(1985年式)
車体型式
- 型式:A−TA01
エンジン
- 型式:TA01E
- 種類:単気筒2ストローク
- 冷却方式:空冷
- 総排気量:49cc
- 燃料供給方式:キャブレター
- 内径(シリンダーボア):40mm
- 行程(ピストンストローク):39.3mm
- 圧縮比:6.8
- 最高出力/回転数:5.1ps/65000rpm
- 最大トルク/回転数:0.6kgf•m/5500rpm
- 使用燃料:レギュラーガソリン
- 始動方式:セルフスターター/キックスターター
- 点火方式:C.D.I.式
- 潤滑方式:2スト分離給油方式
- 変速機:無段変速
寸法
- 全長:1760mm
- 全幅:685mm
- 全高:1010mm
- ホイールベース:1240mm
- 車両重量:99kg
- タイヤサイズ(前):3.50−10
- タイヤサイズ(後):5.40−6
- タイヤタイプ:バイアス/チューブ
性能
- 乗車定員:1名
- 最小回転半径:1.8m
- 燃料タンク容量:5L
- 燃料消費率:58.0km/L
構造
- フレーム型式:アンダーボーン
- キャスター角:26°00’
- 懸架方式(前):ボトムリンクフォーク
- 懸架方式(後):ユニットスイング式
- ブレーキ(前):機械式リーディングトレーリング
- ブレーキ(後):機械式リーディングトレーリング
そのままでも洒落たトライクっぽい
ビジネスバイク・デリバリーバイクとしては文句なしのジャイロアップですが、何積んでいない素のままのジャイロアップを見るだけでもなんとなく魅力的に見えてきそうな気がしませんか?私だけでしょうか?
スリーターという独特なスタイルに角ばったボディの組み合わせが、ビンテージなトライクの様にも見えてきます。厳密に言えば、トライクとスリーターは別物なのであくまでも『ぽい』という表現になりますが、底重心でずっしりした感じがなんとも逞しく感じます。
ジャイロ特有のスムーズなコーナリングと立ち上がりの安定性も相まって、バイクとして楽しむ事も出来そうですね。ビジネス・デリバリーバイクとしてだけでは無く、ひとつのマシンとしてカスタマイズしていってもかなり楽しそうです。
意外な両面性を持つジャイロアップはある意味、最強のデリバリーバイクと言えるのでは無いでしょうか?
ジャイロアップを美しく保つには!
以上、ホンダの『ジャイロアップ』のご紹介でした。私個人的には味のある外観と、安定性と積載性に優れたボディはかなり魅力的の様に感じます。ビジネスシーンではもちろんの事、普段の街乗りでもカスタマイズ次第ではかなりお洒落にキマりそうな感じもします。
ジャイロアップは既に生産終了した絶版車ではありますが、今も尚多くの働く人々の足として活躍している事でしょう。仕事でもプライベートでも心強い相棒として活躍してくれそうなジャイロアップ。タフなバイクと言えども愛車には変わり無いですから、時には外装も綺麗にしてあげたくなりますね。
もちろん塗装面のコーティングなどのメンテナンスも重要ですが、それと同じくらいメッキパーツへも愛情を注いでいきましょう。メッキパーツも経年と共にくすみや錆が発生するので、放っておけば錆腐食が侵食して取り返しのつかない事に・・・
またメッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもきちんとしたモノを使わないと更に傷やくすみの原因にもなり兼ねません。愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為にしっかりとしたショップとケミカルを選び、美しく維持していきましょう。
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メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
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