画像参照元…ホンダ公式ページ
知られざるホンダのビッグシングル『GB500TT』
今回ご紹介するのはホンダのビッグシングルバイク『GB500TT』です。最近ではめっきり見なくなったバイクですが、このGB500TTは知られざるホンダの名車として一部のファンからは熱く支持されている一台なのです。
クラシカルなネイキッドバイクで、トラディショナルカフェレーサースタイルとなっており、純正で既にカスタムを施した様な洗練された外観となっています。
GB500TTが登場したのは1985年。既にこの年式でクラシックバイクの仲間に入ると思うのですが、GB500TTはその年代でもより古めかしい趣のある外観が売りでした。
発売当時は空前のレプリカブームであまり見向きもされなかった悲しき運命を辿った一台ですが、時代が移ろった現代ではそのクラシカルな見た目とカスタムライクな外観が評価された遅咲きの名車とも言えます。
しかし、そうは言ってもやはり不人気でマニアックなバイク。GBと言えばGB250や最近発売したGB350が認知度が高い為「GBに500なんてあったの?」なんてやりとりが日常茶飯事なのはオーナーなら分かる『GBあるある』だと思います。
GB500TTの『TT』とは『Tourist Trophy(ツーリストトロフィー)』を意味しており、かの有名な英国のモーターサイクルレース『マン島TTレース』に由来します。世界的にも歴史深いレースに肖ったネーミングであることから、ブリティッシュでレーシーなイメージの強い趣のある一台となっています。
500ccというのも決して中途半端な排気量ではなく、マン島TTにおいても500ccクラスが設けられている主要排気量のひとつです。まさにマン島TTをオマージュしたGB500TTにはバイクの歴史とロマンが詰められたバイクなのです。単気筒エンジンを搭載したのもまた、その拘りの現れかも知れません。
直接的なライバルはヤマハのSR400とされていますが、真正面からのライバルという訳ではなく、系統が少し違うのでそれぞれの違った魅力を持っています。しかしビッグシングルでクラシカルな外観、そして時代は空前のレプリカブームという事もあり次第にその存在は霞んでいき短命に終わるという悲しき運命を辿ったのです。
目次
GBシリーズについて
皆さんご存知の『GBシリーズ』について簡単におさらいしましょう。GBシリーズが最初に登場したのは1983年のこと。空冷単気筒4ストロークDOHCエンジンを搭載したとして、クラシカルな外観でありながら機敏な走りを見せるGB250には誰もが度肝を抜かれたことでしょう。
もともとGB250もホンダのフラグシップモデルに冠される『CB』の称号を与えられる予定でしたが、CBには時代の最先端をいくイメージが込められていた為、それとは逆行したクラシカルな外観だった為、『GB』という新たな名前が与えられたのです。
1985年にはGB400TT/GB500TTが発売。GB250の兄貴分として空冷単気筒エンジンを踏襲したビッグシングルとして登場しましたが、エンジンの仕様はSOHCエンジンとなっています。400/500どちらもカフェレーサースタイルで排気量とカラーリングの違いのみで見た目はほぼ変わりません。GB400TTについてはロケットカウルを標準装備したGB400TT MK.Ⅱを特別仕様車として400台限定で発売しています。
GB250は1997年モデルが最後でGB400TTは1988年、GB500TTは1986年モデルを最後に生産終了していますが、2021年に長い沈黙を経て新たなGBシリーズとしてGB350が登場しています。
CBの名を冠されずとも独特の進化を遂げて、その個性を光らせ続けたGBシリーズ。数世代に渡りバイク好きを魅了してきたことでホンダの誇れるシリーズであることは事実でしょう。その中でも最も大排気量となるGB500TTの魅力についてたっぷりと語っていきたいと思います。
GB500TTの主要諸元
車体型式
- 型式:PC16
エンジン
- 型式:PC16E
- 種類:単気筒4バルブ4ストロークOHCエンジン
- 冷却方式:空冷
- 総排気量:498cc
- 燃料供給方式:キャブレター
- 内径(シリンダーボア):92mm
- 行程(ピストンストローク):75mm
- 圧縮比:8.9
- 最高出力/回転数:40ps/7000rpm
- 最大トルク/回転数:4.2kgf•m/5500rpm
- 使用燃料:レギュラーガソリン
- 始動方式:セルフスターター/キックスターター
- 点火方式:C.D.I.式
- プラグ型式:DP8EA−9
- 潤滑方式:ドライサンプ式
- エンジンオイル全容量:2.3L
- 変速機:リターン式5段変速
- 操作方式:フットシフト
寸法
- 全長:2100mm
- 全幅:690mm
- 全高:1060mm
- ホイールベース:1405mm
- 最低地上高:160mm
- シート高:775mm
- 車両重量:167kg
- タイヤサイズ(前):90/90−18
- タイヤサイズ(後):110/90-18
- タイヤタイプ:バイアス/チューブタイヤ
性能
- 乗車定員:1名
- 最小回転半径:2.8m
- 燃料タンク容量:17L
- 燃料消費率:45.0km/L
構造
- フレーム型式:セミダブルクレードル
- 動力伝達方式:チェーン
- キャスター角:29°25’
- 懸架方式(前):テレスコピックフォーク(正立)
- 懸架方式(後):スイングアーム式
- ブレーキ(前):油圧式ディスク
- ブレーキ(後):機械式リーディングトレーリング
トラディショナルなカフェレーサースタイル
冒頭から紹介した通り、GB500TTは60年代の雰囲気漂うトラディショナルなカフェレーサースタイルが魅力的です。
純正でセパレートハンドルを採用していますが、アルミ削り出しのトップブリッジの上にオフセットすることで窮屈すぎないライティングポジションを実現しています。
シートもレーシーな雰囲気抜群のシングルシートが装着されています。乗車定員も潔く1名のみでタンデムステップもありません。シートの座面はバックスキン加工が施されており、ライディング時の滑りを軽減させてくれるという細かな気配りがされています。
メーターもクラシカルなアナログの2連メーターがマウントされており、丸目一灯のシンプルなヘッドライトと、大きく丸いラウンドミラーとの相性も抜群です。
また、エンジン始動の方式はセルフスターターとキックスターターの併用式。キックスターターが搭載されているのもかなり魅力的で、クラシックバイク好きには堪らない『始動の儀式』と執り行えるのも魅力のひとつです。
流線型のフューエルタンク
容量17Lの大容量のフューエルタンクはGB400TT同様に曲線美が印象的なデザインとなっています。英国車風の丸っこいタンクですが、上から見下ろしたタンクはシート側に向かってシェイプしたスマートな形状で見る角度によって印象の変わる不思議なタンクです。
RFVCエンジン
GB500TTに搭載された498cc空冷単気筒4バルブ4ストロークSOHCエンジンは最高出力/回転数40ps/7000rpm、最大トルク/回転数4.2kgf•m/5500rpmを誇るRFVC仕様となっています。
RFVCはラジアル・フォー・バルブ・コンバスチョン・チャンバー(Radial Four Valve Combustion Chamber)は4本の吸排気バルブを放射状に配置しすることで半球形燃焼室ので、燃焼・吸気・排気を効率良く行えるというエンジン構造となっています。
よってGB500TTは単気筒SOHCエンジンでありながら高回転域で伸びの良い加速を実現し、機敏な走りを魅せてくれます。もちろん、ビッグシングルらしいトルクフルな面も持ち合わせており、まるで特別にチューンナップしたかの様な良いとこ取りなエンジンとなっています。
単気筒らしいサウンド
GB500TTのエンジンから伸びるシンプルな葉巻型のサイレンサーからはマイルドな単気筒サウンドを楽しむ事が出来ます。ビッグシングルらしい鼓動感がありながらもどこか軽快さも感じるサウンドはアイドリング時〜中低速、高回転域でそれぞれ違う音色を感じる事が出来るのも楽しみのひとつです。
GB500TTを美しく保つには!?
以上、ホンダの隠れた名車『GB500TT』のご紹介でした。時代に愛されなかった不運なバイクですが、トラディショナルな雰囲気とレーシーでカスタムライクな外観が魅力的な一台となっています。
今ではかなりレアな一台となっており、巷ではほとんど見る機会のなくなったGB500TTですが(そもそもの販売台数が少ないというのもありますが)その趣のあるデザインとビッグシングルらしい鼓動感は見る者、聞く者を魅了すること間違いないでしょう。
不人気車が故に目立つというのも事実で、誰とも被らないバイクが良いと言う方にはかなりハマる一台なのではないでしょうか。そしてこの様なレアで古いバイクを所有するに当たって気を付けたいのは外装コンディションの維持でしょう。せっかく珍しいバイクに乗るならばオリジナルの外装や美しい塗装を美しく保ちたいと言うのは切なる願いでしょう。
もちろん塗装面のコーティングなどのメンテナンスも重要ですが、それと同じくらいメッキパーツへも愛情を注いでいきましょう。メッキパーツも経年と共にくすみや錆が発生するので、放っておけば錆腐食が侵食して取り返しのつかない事に・・・
またメッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもきちんとしたモノを使わないと更に傷やくすみの原因にもなり兼ねません。愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為にしっかりとしたショップとケミカルを選び、美しく維持していきましょう。
愛車はどのKING?
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
クロムメッキ磨き剤「ミガキング」
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詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。