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【HONDA GB400TT MK.Ⅱ】
皆さんHONDAのGBと言うバイクを聞いた事がありますか?GB250は今でもコアなファンから根強い人気を得ている不朽のバイクです。
そのGBシリーズに実は400ccと500ccがあったのをご存知でしょうか?GB250のコンセプトはそのままに車格も単気筒エンジンも大きくなった、正にビッグシングルマシンです。
私が乗っていたのは『GB400 TT MK.Ⅱ』と言うモデルですが、このバイクが正に私の求めているモノを全て詰め込んだ様なバイクでした。
しかしこのGB400が発売した当初はレプリカブーム。オールドテイストだったGB400は流行の波に飲まれ、短命に終わりました。
今回はそんな不遇の名車、GB400TT MK.Ⅱの魅力についてご紹介致します。
【GB400 TTの名前の由来】
GBシリーズの名前の由来は『時代に逆行したイメージ』から名付けられております。そしてGBシリーズの400cc以上は『TT』と言う文字が名前に付けられています。
TTとは『Tourist Trophy (ツーリストトロフィー)』の略称です。つまりモーターレースの賞杯を意味します。
バイク好きの方なら『マン島TT』なんて聞いたことがあるのでは無いでしょうか。イギリスはマン島で行われるレースで、モータースポーツでも歴史の深いレースです。GB400は正にそう言ったモーターレースのツーリストトロフィーに敬意を表する様にTTの文字を車名に関しています。
外装にもそのTTの文字は丁重に扱われ、チェッカーフラッグを模したようなデザインでサイドカバーに刻まれています。私のGB400はそのTTの文字は霞んではいたものの、存在感のあるデザインでした。
また名前の最後にMK.Ⅱとありますが、これは特別仕様車を意味します。1986年に4000台のみ製造された貴重なモデルです。ほとんど中古相場には出回る事もなく、純正を保った個体はさらに貴重だと思います。
ガンダム好きな人はこのMK.Ⅱの響きに反応しそうですね。
【GB400TT MK.Ⅱの主な仕様】
GB400TT MK.Ⅱの主な仕様です。
- 単気筒4ストローク
- ドライサンプ式空冷OHCエンジン
- 排気量399cc
- 負圧式シングルキャブレター
- タンク容量17L
- MT5速
- 乾燥重量150kg
- 全長2100mm
- 全幅690mm
- 全高1060mm
仕様もなかなか面白いので、細かく解説していきます。
【MK.Ⅱはカフェレーサースタイル】
冒頭でも触れましたが、GB400TT MK.Ⅱには大きなロケットカウルが標準で装備されています。このカウルはスタイリッシュな今時なカウルでは無く、ずんぐりむっくりした巨大なカウルです。
ドゥカティで言うならイモラカウルと言うよりはMHRをハーフカウルにした様な形状です。若しくはジレラのサトゥルノのカウルにも近い感じがします。セット位置は高めなので、スポーティーと言うよりもう少しマイルドな見た目になります。
たまにカウルだけがオークションサイトに流通していますが、かなりのプレミア価格が付いています。私も予備で欲しかったので落札しようと思いましたが、なかなかのお値段まで吊り上がったので泣く泣く諦めた経験が有ります。
それはさておき、内側から見るとカウルが2連メーターを抱え込む様な形状ですので、男心をくすぐる様なコックピットとなっていました。空いたスペースにETCやスマホホルダーなんかを配するとよりメカメカしい見た目になります。
またシートもシングルシートを採用され、タンクと同系色のシートカウルが装着されています。シート自体も程よい厚みが有り、表面にバックスキン加工がされているのでお尻のズレが少ないのでロングツーリングでも意外に疲れませんでした。
私はWMのシングルシートに替えてましたが、これがタンクからのラインが美しくてとても気に入っていました。タンクの後ろを大きくカバーするデザインで、モトグッツィのルマンを彷彿とさせます。その代わりスポンジが薄くてなかなかスパルタンな座り心地でしたが。
【オフロードのDNAを受け継いだエンジン】
実はHONDAのオフロードバイクXR500Rの派生エンジン。エンジン内部のピストン配列にRFVC(ラジアル フォーバルブ コンバスチョンチャンバー)を採用しているちょっと珍しいエンジンです。RFVCとはピストンを放射状に配した形状で、優れた燃焼効率を実現する構造です。
エンジン潤滑方式はドライサンプ方式です。オイルポンプによってエンジン内部にオイル供給しているので、安定した供給量とオイル回収時に効率よく冷却出来るのでエンジン性能が向上する仕組みです。
この様にかなり走りにも拘った作りのエンジンを採用しているので、加速の伸びが良い印象でした。細かいアクセルワークにもキビキビした反応をしてくれます。
そしてトルクフルな走りも見せてくれるのは『さすがビッグシングル』と言った感じです。懐の深さが伺い知れます。
またエンジンには振動を抑制するバランサーが内臓されていますが、振動を程よく抑えつつ鼓動感を残している感じですので、単気筒の醍醐味はきちんと味わえます。
ちなみにドライサンプエンジンは本体を小型か出来るメリットがあるらしいですが、GB400自体は結構大柄な車格だったので、それに関してはあまり恩恵を感じる事は有りませんでした。
【軽快なハンドリング】
GB400はセパレートハンドルです。GB250は一文字バーハンドルだったので、よりカフェレーサー要素が強くなっていますね。
しかしセパレートハンドルと言ってもトップブリッジの上にオフセットされているので、自然に手を伸ばした位置にハンドルが来ます。タンクとの干渉も無いので、ハンドル角も確保出来ており低速時の操舵性もかなり良いです。
またタンク形状もニーグリップしやすく、ドライサンプ式エンジンで重心が高くなっているお陰なのか、タイトなコーナーでもヒラヒラと軽快に曲がる事が出来ます。
【歯切れの良いシングルサウンド】
やはり単気筒の醍醐味と言えばそのサウンド。純正マフラーだと少し大人しめの音量ですがアクセルを開ければ、弾ける様なサウンドが響き渡り聞いているだけで高揚感が増してきます。
私はWMのマフラーに換えていましたが、このマフラーのサウンドも重低音がしっかりしていてよりビッグシングルの鼓動を感じる事が出来ました。巡航時はかなりマイルドで、加速時は少々荒々しいサウンドになります。
特にトンネルの中だとサウンドが強調されるので、至高のひとときです。
【キックスターター付き】
GB400はセル&キック始動が出来ます。ここはやはり大きなポイントでも有ります。キックスタート好きの私からすればかなりありがたいと言うか崇めるレベルです。セルがあるので簡単に始動出来ますが、私はほとんどキック始動をしていました。
そのキックスターターですが、GB400はオートデコンプを採用しています。キックスタートはキックアームを介してクランキングを行い始動する方法です。その時エンジンのシリンダー内が圧縮されるのでキックアームが硬くなるのですが、オートデコンプが着いていると中の圧を減圧してくれます。
そうすると拍子抜けする程簡単にキック始動する事が出来るので、それこそ女性でも1発でエンジンを掛ける事が出来ます。
因みに私は試しに片腕で掛けた事があります。かなり力要りますが。
少しキックスタートの儀式としては物足りない感じがしますが、キックアームでクランキングする時の乾いた音や踏み抜く瞬間の感触は、キックスターター好きの心をちゃんと満たしてくれます。
【GB400TT MK.Ⅱをセンス良くカスタムするには】
GB400TT MK.Ⅱは既にメーカーカスタムしてあるのでかなり隙の無い様に見えますが、もっとセンス良く仕上げたかったのでどこから手を加えるかかなり迷いました。
まずは前述にある通りシートとマフラーをWM製に換えました。唯一GB400専用のパーツとして出ている物なのでまるでワンオフで作ったかの様なフィット感とデザインでした。(もしかしたら他のメーカーもあるかも知れません)
しかしこの二つもかなり流通量が少ないので、手に入れるまでには相当苦労をしましたし、かなり良い値段でした。
もし状態の良い物を見つけたら入手する事をお勧めします。
次はミラーです。純正のミラーは一般的なスクエアタイプでカウルの左右に付けてあります。視認性はかなり良いのですが、正直言ってかなりダサいです。
せめてもと思い少しビンテージチックなラウンドミラーにしてみましたが、やはりカウルから飛び出たような触覚にしか見えずボツにしました。
その後、バーエンドミラーも候補に入れてましたが最終的にたどり着いたのが、カウルステーにミラーマウントを取り付けてカウルの内部からミラーを出すスタイルに落ち着きました。
これはバイク仲間が乗ってたドゥカティの900SSを参考にしました。
ちょっと無理のある取り回しになりましたがかなりスッキリした見た目になったので結果的に満足しました。
そして構想で終わりましたがウインカーをカウル埋め込み式にしたり、リアのフェンダーレス化なども考えていました。ブリティッシュと言うより、もう少しスポーティーなイタリアンカフェレーサーの方向が似合いそうだと思ったので。
この様に既に完成系に見えるGB400TT MK.Ⅱですが、カスタムする余地は意外にあるのでベースの良さを崩さずに、あーでも無いこーでも無いと色々試行錯誤していました。この時間もまたバイクの楽しみのひとつですね。
【見た目だけじゃない走りも本格的なカフェレーサー】
如何でしたでしょうか?少し難しい話もあったと思いますが、GB400TT MK.Ⅱは見掛け倒しではない本格派のカフェレーサースタイルバイクである事が分かったと思います。
私は何かの雑誌でこのバイクの存在を知ったのですが、その時の衝撃はかなりのモノでした。カスタムすれば似たようなバイクは作れますが、何というか敢えてメーカーカスタムでリリースしたGB400TT MK.ⅡからはHONDAの本気度を感じたのだと思います。
発売した80年代はレーサーレプリカブームだったので短命に終わった車種ですが、きっと時代が追いついていなかったのだと思います。
今ではかなりマニアックなバイクのひとつとなっていますが、間違いなくバイク史に名を刻める名車です。
以上GB400TT MK.Ⅱのご紹介でした。
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