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【HONDA GB250 クラブマン】
HONDAの名車と言えば誰もが思い付くのが『CB』だと思います。バイクに詳しく無い方でも知っているのではないでしょうか。一番最初にCBの名を冠したのは『ベンリイCB95スーパースポーツ』で発売が1959年。半世紀以上経った今でもその名前は受け継がれ続けています。
今回紹介するのはそのCBでは無く『GB250』と言うバイクです。何度「は?CB?」聞き返された事でしょうか。しかし侮るなかれ、GBは知る人ぞ知るHONDAの隠れた名車として、初期型〜5型まで生産されております。その間なんと14年。
私もGB250がとても好きなのですが、実は今までで3台乗り継いでいます。特に初期型が好きだったのですが、今でも唯一無二の存在だと思っています。
それではGB250クラブマン初期型の魅力をご紹介致します。
【GB250 クラブマンの名前の由来】
冒頭に触れましたCBの名は、当時からHONDAのフラグシップモデルに採用され「時代の先端を進む」イメージを持っていたそうです。実はGBも開発当初は『CB』を名に冠する予定だったそうです。
しかし完成したGBのスタイルを見たメーカー上層部が「このバイクは時代に逆行している」と感じた為、『GB』と名付けられたのだそうです。
そして名称の中には『クラブマン』と有ります。実はこれ、カニ男と言う意味では有りません。スペルは『CLUBMAN』で『一流会員』などの意味が込められており、『CLUB』とはモータースポーツの愛好会などを指しております。クラブマンレースなんて言葉を聞いた事がある方もいるのでは無いでしょうか。
あえて確固たる地位を持つCBの系譜から外れ、新たにGBシリーズとして産声をあげたこのバイクからは『バイクと向き合い続けるメーカーの愛』を感じます。なので私はこの命名のエピソードがとても好きです。
【GB250初期型の仕様が面白い】
私が乗っていたGB250は1983年式の初期型です。今となっては貴重ですね。主な仕様はこのようになっています。
- 単気筒4ストローク
- 空冷DOHCエンジン
- 排気量249cc
- 強制開閉式デュアルキャブレター
- タンク容量17L
- MT6速
- 乾燥重量130kg
- 全長2015mm
- 全幅640mm
- 全高1035mm
かなりざくっとですが、見る人によっては前のめりになるようなスペックでは無いでしょうか?
私が特に気に入っているのが『強制開閉式デュアルキャブレター』です。なんだか必殺技みたいな名前ですが、これが意外に馬鹿に出来ないんです。
この強制開閉式デュアルキャブは初期型にのみ採用されて、2型以降は負圧式のキャブレターへと変更されました。この二つの違いを簡単に説明します。
まず『負圧式』のキャブレターは、アクセルを開けるとキャブ内のバタフライバルブが開き空気を吸い込みます。その時中に入ってきた空気の圧力がダイヤフラムに負圧を発生させる事で、ピストンバルブが上昇しガソリンと空気の量を調整していると言う構造です。
簡単に言うと空気の圧力による制御です。加速がマイルドなのでストレスが少なくロングツーリングなどでは疲れにくい感覚です。
次に『強制開閉式』のキャブレターは、アクセルとピストンバルブが直結している為、強制的にピストンバルブを上昇させる構造です。強制的にピストンバルブが上昇するので空気の圧力などは関係が無く、負圧によるダイヤフラムの動作も無いので、加速にタイムラグが有りません。
一見無駄のない構造に聞こえますが、負圧式の様なマイルドさはなくアクセルワークがシビアです。ちょっとアクセルを捻るだけでグンッ!グンッ!と引っ張られる感覚です。
この様に単気筒250ccで有りながら尖った心臓部を持つバイクなんてそうそうあるものではないと思います。私はこの強制開閉デュアルキャブレターと言うだけで初期型GB250の価値があると思っています。
しかも重量も軽いので、アクセルを開いた時にまるで胸ぐらを掴まれて引っ張られる様な感覚はなかなかエキサイティングです。
【多国籍カフェレーサーな外装】
GB250は正に『欧州スタイル』と言ったデザインです。見方によって様々な国のスタイルを取り入れている様に感じます。
250ccにしては少し大きめの角ばったタンクにはピンストライプのデザインが施され、HONDAのロゴはオールドウイングデザイン。形状がまるでBMWのR100の様なタンクなのがお気に入りでした。
丸目のヘッドライトにコクピットには2連のアナログメーター。低めにセットされた一文字バーハンドルがブリティッシュなカフェレーサーの雰囲気を出しています。
標準はダブルシートでは有りますがオプションでシングルシートカウルも有ります。このカウルがもう既にプレミア価格で、中古でも結構いい値段がします。私もシートカウルを付けていましたが、かなりカッコいいです。
また初期型のみウインカーが角型で一見野暮ったいのですが、これがまた見ようによってはイタリアのモトグッツィ・ルマン3みたいで、あえて丸型に交換せず残していました。
フェンダー類は樹脂パーツですが、このチープな感じも好きです。速攻でオプションのアルミフェンダーに換えましたが。
ちょっと偏愛すぎる視点からで外装の紹介をしましたが、どんなバイクにしても細かいデザインを見て自分なりに解釈した方が愛着が湧きますしカスタムの方向性も定まってきます。
私はこの初期型のデザインが好きだったので純正スタイルを崩す事なく維持していました。元々カスタム好きだったのですが『このままで乗っていたい』と心から思えるバイクです。
【左右2本出しマフラーがカッコよすぎる】
これまた外装の話になるのですが、マフラーだけは別でお話します。何故なら『カッコいいから』です。それはもう特筆したくなるカッコよさです。
と言うのもGB250は初期型のみ『左右2本出しマフラー』が採用されているのです。皆さんもこの響きが三度の飯よりも好きだと思います。単気筒で2本出しマフラーなんてなかなか有りませんよね。私も最初は二度見しました。
サイレンサー形状にも違いが有り、2型以降はテール部分まで伸びた葉巻型のサイレンサーですが、初期型はキュッと短いメガホンタイプです。
2本出しマフラー好きの方なら分かると思いますが、後ろから見た時のスタイルが堪らなくカッコいいです。ツーリングでもコンビニで休憩する度に見惚れていました。全体的に肉厚に見えるのか、重厚感も出て車格以上の存在感を感じます。
スポーティーな見た目ですがサウンドはまさに単気筒の『それ』です。急にアクセルを開けると強制開閉キャブなのですぐさまエンジンの唸りにかき消されますが、巡航している時のパタパタした音は乗っていて心地いいです。
単気筒サウンドを集めた音源をどこかのサブスクで聴き放題とか出来ないでしょうか。
そしてこの2本出しマフラーはやはり初期型の代名詞でもあるので、GBに詳しいライダーさんからは良く声をかけられます。まさしく『GBマニアホイホイ』です。
【タフなエンジン】
元はCBの派生車種である為、CBX250RSとほぼ同じDOHCエンジンを積んでおります。このエンジンがどう言う訳だか、かなり頑丈に出来ています。私が乗っていたGB250初期型は83年式で乗っていた当時は既に30年モノでした。
しかしメンテと言えば定期的なオイル交換とヘッド部分のDリング交換したぐらいで、大きなトラブルは無し。元々が良玉の中古だったと言うのも有りますが、ここまで頑丈とは思いませんでした。たまたま当たりの個体だったのかも知れません。
そのタフネスさはエンジンの形状からも見て取れます。ヘッド部分はかなり角ばっており、大きめのビックリマークみたいな見た目が「なんか強そう」と思う形状です。この角ばったエンジンがかなり好き好きが別れる様ですが、私はこの無骨なデザインのエンジンが好きです。
【バイクの鼓動を全身で感じる】
カッコいい言い方をしていますが、シンプルに言うと『エンジンの振動が凄い』です。それはもうかなりの振動です。アクセルを開けた瞬間はタンクがグオーーーーンと共鳴するほどです。
街乗り程度ならまぁ気にならないですが、高速道路となると話は別です。時速80kmぐらいが振動のピークで、ハンドルを介してダイレクトに手に振動が伝わってきます。時速100kmになるとフレームとの波長が合うのか少し落ち着きます。それでもなかなかの振動です。
ハンドルウェイトを入れるとだいぶ軽減されますが、体全身で単気筒に浸りたいなら何の対策もせずに振動を楽しむのも良いかも知れませんね。
【GB250の唯一残念なところ】
溺愛偏愛ベタ褒めの連続でしたが、実はGB250に一つだけ残念に思うところが有ります。それはずばり『キックスターター』がない事です。
セルモーターは便利ですが、旧車好きの私からすればやはり『キックスタートの儀式』が必要です。以前SR400に乗っていた頃はキックスタートが好きすぎて、何を思ってか『着いていたデコンプレバーを取っ払う』と言う奇行に走った事さえ有ります。便利なのに。
そんなキックスタート好きの私からすれば、デザインや走りが好みのGB250にキックスタートがついていないのがとても残念でした。
かと言ってGB250が悪いバイクとは思わないので、バイク自体の価値からすれば些細な問題に過ぎないです。ここは私の個人的はわがままですので。
【GB250は今でも乗りたくなる名車】
GB250を散々乗り継いだ挙句に今では手放してしまいましたが、ふとたまに無性に乗りたくなる瞬間が有ります。強制開閉キャブレターや低めの一文字ハンドル、振動の凄いスパルタンな乗り味でしたがとても良いバイクです。
お洒落なオールドルックバイクと言うより『走りに妥協しない本気の250』と言った感じですね。当時はレプリカブームだったので、コンセプトは違えどその熱意も存分に込められていたのかも知れません。
そんなメーカーとライダーに愛され続けたGB250のご紹介でした。初期型は特にオススメです。
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多い、絶版バイクの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
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