日産『初代CSP 311型シルビア』
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目次
【日産シルビアの登場】
日産シルビアは1964年の東京モーターショーにてその存在を示し、翌年の1965年4月に販売が開始されました。初代CSP311型・2代目S10型・3代目S110型・4代目S12型・5代目S13型・6代目S14型・最終型S15型とモデルチェンジを繰り返しながら、2002年まで製造された人気車種です。
特に5台目となるS13以降はマシンとしてのポテンシャルが買われ、巷の車好き達からカスタムベース車としても選ばれ続けました。走り屋系漫画の『ジゴロ次五郎』の主人公が乗っていたのもS13シルビアで、自分の意思を持つ『妖車』という設定がなかなか面白くて大好きな漫画のひとつです。
私も6代目となるS14のいかついデザインが好きで、ターボ仕様のK’sとか憧れましたね。憧れで終わりましたが。最終型のS15となるとかなりスタイリッシュでスマートな外観のスポーツカーとなります。
全モデル通してクーペスタイルを貫き、嗜好性の高いスペシャルティカーとして長く若者に支持され続けたシルビア。今回はそんな車好きの心を踊らせたシルビアの初代モデル『CSP311型シルビア』のご紹介をしていきます。
【シルビアの名前の由来】
まずはシルビアの名前の由来から見ていきます。『シルビア(SILVIA)』とはギリシャ神話に登場する女神ディアナに仕える美しい容姿の女神の名で、元々の語源はラテン語の『森』を意味します。
またフランスの作曲家レオ・ドリーブがシルビアを題材としたバレエ音楽『シルヴィア、またはディアヌのニンフ』を作曲し、1876年にパリ・オペラ座で初演されました。かの有名なロシアの作曲家チャイコフスキーもこの曲を絶賛したそうです。
なんだか音楽の授業みたいになってしまいましたが、車の名前や由来を掘り下げていくと面白い発見があります。特に車名にはなぜかギリシャ神話を参考に付けられたものが多い気がします。
現代では一般的に女性名として『シルビア』は用いられており、個人的に容姿端麗で気品あるイメージのある名前です。2011年公開のハリウッドのSF映画『TIME』では女優のアマンダ・サイフリッド扮するヒロインの名も『シルビア(シルヴィア)』でした。めちゃめちゃ美人で、映画のストーリーも面白いので興味がある方は是非観てみて下さい。
【主な仕様】
初代シルビアの主な仕様です。
・R型 直列4気筒 OHVエンジン
・排気量1595cc
・燃料供給方式キャブレター
・全長3985mm
・全幅1510mm
・全高1275mm
・ホイールベース2280mm
・車両重量980kg
・最高出力90ps /6000rpm
・最大トルク13.5kgf•m /4000rpm
・ボアストローク87.2×66.8mm
初代シルビアはダットサン・フェアレディSP310型をベースとしている為、外見は違えどR型1.6LのOHVエンジン、SUツインキャブレターは共用とされています。日産R型エンジンはH20型エンジン(排気量2.0L ボアストローク87.2×83mm)の派生系で、排気量を約400cc分ダウンしてはいますが、ショートストローク化によってより高回転型のエンジンへとなっています。
最高速は165km /hでゼロヨンタイムは17.9秒。当時の名だたる欧州車の記録平均が18.0秒ぐらいだったので及第点と言える記録だと思います。
またシャシーもダットサン・フェアレディと同じ補強されたラダーフレームであり、制動装置についても日産車としては初めての前輪ディスクブレーキ搭載車という走りに拘った仕様でした。
【美しいクリスプカットボディ】
歴代のシルビアはどれもカッコいいデザインをしていましたが、初代は高貴なる美しさも兼ね備えています。思わず見惚れて思考が停止しそうなぐらい。ボディタイプはシンプルな2ドアクーペのみで、全体的に鋭く角ばった造形は『クリスプカット』と呼ばれるものです。
このデザインを設計する上で、ドイツのデザイナーであるアルブレヒト・フォン・ゲルツ氏が携わっていたそうです。私も初めて聞く名前で「誰だよ!知らねーよ!」と思って調べてみたらBMWのデザインにも携わっていたという凄い方でした。心の中で土下座しました。
ちなみに『クリスプ』とは『はっきりした・手が切れそうな・カリッとした・サクサクした・爽快な』と言った意味で、明瞭な造形は国産車のデザインとしては珍しいものと言えます。
ボディ部分の最終工程には職人による仕上げが入るなど、その拘りの強さは造形の完成度からうかがい知れます。
そんなシルビアのメリハリのある直線形のボディラインは、私の頭の中に勝手にインプットされていた『美しい=流線型』の構図を見事に覆してくれました。まさに美しき女神の名に相応しい品のあるデザインと言えます。
それでは外観について詳しく解説していきます。
【立体的なフロントマスク】
初代シルビアのフロント部分は私の大好きな逆スラントノーズ型で、左右から真ん中へ尖るような形が特徴的です。ヘッドライトはこの時代では主流の4灯タイプでフロント面に対して奥に引っ込むような位置にあります。この顔つきはアメ車に例えるならば、S-197マスタングっぽいですね。
尖ったフロントに沿うように作られたグリルは、綺麗にカットした鉄板を縦一列に整列させたような見た目でまさに『クリスプカット』と言えるデザインです。全体的にシンプルでスッキリしたフロントマスクはなんだか日本車らしくない感じがします。そのまま壁に突っ込んだら刺さりそうですね。
【開放感溢れるキャビン】
特徴的なボディを語るだけでシルビアの魅力は十分伝わると思いますが、私はそのキャビン部分の作りにも大いに魅力を感じました。
その魅力とはウィンドウ部の広さです。これはあくまで私の主観ですが、シルビアは2ドアクーペの為キャビン部分はかなりコンパクトな作りです。ルーフ部分やリア側のピラー部分のボディ面積が比較的せまく、そのぶん大きなウィンドウとして還元され、開放感と透明感を得ているように感じます。
特にリアウインドウは車内がまるっと見渡せる程広く、角度もかなり大きく付いているように見えるので、光の取り込み量も多そうですね。
【高潔なインテリア】
初代シルビアの美しさは内装にまで及びます。直線型のボディのドアを開けるとそこにはレザー調シートやセンターコンソール、ドアの内張りに至るまで白を基調とした白亜の空間。
またシートの後ろ側には、広い荷物置きのスペースが。シートと同じレザー調の立派なスペースなので、一瞬後部座席に見間違える程でした。
内装が白だととても明るく清潔に見えるので、シルビアらしい品のある雰囲気を醸し出してくれます。
またダッシュボード部分はまるで大きな革財布の口をガバッと開いたような柔らかみと品ののあるデザインで、そこから覗くアナログメーターもシルバーの縁で飾られており、高級腕時計を眺めているような感覚です。
ステアリングも細いウッド調のものを採用し、センター部分に配されたスイッチの一部はスナップタイプとクラシックカーに乗る喜びを存分に味合わせてくれるコックピットです。
【パトカーにも採用されていた】
1965年12月19日に第三京浜道路が開通した際、日本で初めてのハイウェイパトカーとして神奈川県警により初代シルビアが導入されました。当時は同道路の『東京・横浜間を10数分で結ぶ』という謳い文句と同時に『シルビア・パトロールカー』も大きな注目を集め、メディアによって大きく報道されたそうです。
現代でも2018年に栃木県警でもR35 GT-Rパトカーを導入するなどして話題となったのも記憶に新しいですが(厳密に言うと県民からの寄贈によるもの)初代シルビアはその『スーパーパトカー』の先駆けとも言えます。
【実は不人気車だった!?】
美しいボディライン、高潔なインテリア、走りに拘ったスペック、パトカー導入の話題性。どれを取っても目立ちプロモーションもバッチリの筈でしたが、初代シルビアの販売期間は1965年4月から1968年6月の3年間で終了。その間の生産台数はたったの554台でした。驚異的な売れなさの原因は『高額な価格設定』にありました。
初代シルビアの発売価格は120万円で、当時1965年のサラリーマンの平均年収は44万7000円でした。単純計算で当時の平均年収のおよそ2.8倍ですので、現在の価値に換算すると1200万円に相当すると思われます。
今で言う1200万円オーバーの車と言えばGT-Rとか、レクサスLCとかでしょうか。中古のランボルギーニやフェラーリもこのくらいしそうですね。さすが高貴なるスペシャルティカー、値段もスペシャルです。
この強気な価格が仇となり短命に終わりましたが、2代目シルビアは価格設定が見直され総販売台数は4万台を越えたようです。日産の周年を感じますね。
【初代シルビアの中古相場は?】
気になる初代シルビアの現在の価値を私なりに簡単に調べてみました。時価を省いた初代シルビアの中古相場は大体、700万〜800万円程度で現代でもかなり高額です。
当時の価格が現代の価値で1200万円クラスなのでまぁ値落ちっちゃ値落ちですが、年式を考慮するとかなりのプレミア価格ですね。
そもそも販売台数が554台と超超超少ロットなので、今後は更に価格の高騰はあり得ると思います。と言うか既に博物館レベルな気もしますが。オーナーの方がいたら物凄く羨ましいですね。
【女神の復活を懇願】
日産は数多くの名車を世に送り出してきましたが、シルビアも日産が誇る名車のひとつである事は間違いないでしょう。
S15シルビアを最後にパタリと途絶えてしまいましたが、近いうちに後継機であるS16シルビアが出るんじゃないかみたいな噂は聞いたり聞かなかったり・・・
長年に渡って若者の心を掴んだ名車を是非復活させて欲しいですね。以上、日産『初代シルビア』のご紹介でした。
【旧車パーツのリクロームメッキ出来ます】
NAKARAIメッキで加工した旧車パーツ参考事例を掲載させていただきます。
ケンメリバンパー
再メッキ前 |
再メッキ後 |
ダットサン フェアレディ(SR311型)リヤバンパー
再メッキ前 | メッキ剥離後 |
板金修理後 | 再メッキ後 |
再メッキ後バンパー |
旧車パーツのメッキ手入れ
クロムメッキパーツの多い旧車パーツの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれるくらいの錆びになってしまいます。
錆びてきていない初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの穴を埋める事で耐食性が上がます。
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詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。