画像参照元…BMW Motorrad公式ページ
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バイク界の異端児『BMW R100RS』
クルマ業界のみならずバイク業界でも成功を収めたモーターブランドはなかなかないでしょう。BMWはその両方で大成を果たし、現在ではトップブランドのひとつとして確固たる地位を確立しています。そのどちらも高級志向のプレミアムブランディングで、人々の憧れとも言えます。
皆さんは『BMWのバイク』と聞いてまずはどんなバイクを思い浮かべるでしょうか?ある程度バイク歴が長い方ならば、今回ご紹介する『BMW R100RS』を思い出すのではないでしょうか。もしくはBMWのバイクと聞いてこのR100RSで記憶が途絶えている方も実は多いのでは・・・
なぜR100RSがここまでBMWのバイクの代表格として認知されているのか、それは強烈な印象を与える個性的なデザインが理由だと思います。フラグシップモデルであるRシリーズをベースに作られた事でマシンとしての完成度も高く、見た目も性能も非常に魅力的な一台となっています。
RシリーズはBMWがオートバイ事業に参入するにあたって1923年に初代が製作された歴史の長いモデルです。BMWの代名詞であるボディから大きく左右に突き出た、水平対向2気筒エンジン『ボクサーツイン』を搭載し、駆動方式にシャフトドライブを採用したかなり特徴のあるバイク。これらはRシリーズのアイデンティティとして根付き、初登場から100年経とうとする現代でも踏襲され続けています。
R100RSは1976年にR100をベースに大型カウルを装着させたモデル。特徴的なBMWのバイクに更にインパクトのあるカウルが着けられる事で、世界中の人々はこの個性的な外観を一瞬で脳裏に焼き付ける事となりました。
一見して良い意味で重厚感、悪い意味でもっさりしたツアラーの様に見えます。しかし車名にある『RS』とは『Renne Sport(レン・シュポルト)』のイニシャルを取っている通り、Rシリーズらしいボクサーツインエンジンによりスポーティな走りも魅せてくれます。
奇抜に思えるデザインですが、どこか紳士的で洒落た雰囲気を醸し出しているのもR100RSの不思議な魅力のひとつです。
バイク史に大きな爪痕を残し、未だ語り継がれ続けている『BMW R100RS』。既に素晴らしいバイクである事は既知の事実ですが、今回はその魅力についてじっくりと語っていきたいと思います。
R100RSの主要諸元(1992年式)
エンジン
- 種類:水平対向2気筒2バルブ4ストロークOHV
- 冷却方式:空冷
- 総排気量:980cc
- 燃料供給方式:キャブレター
- 内径(シリンダーボア):94mm
- 行程(ピストンストローク):70.6mm
- 圧縮比:8.45
- 最高出力/回転数:44kW(60ps)/6500rpm
- 始動方式:セルフスターター式
- 点火方式:フルトランジスタ式
- 変速機:リターン式5段変速
- 操作方式:フットシフト
寸法
- 全長:2175mm
- 全幅:800mm
- 全高:1380mm
- ホイールベース:1447mm
- シート高:807mm
- 車両重量:229kg
- タイヤサイズ(前):90/90−18(1985年以前は19インチ)
- タイヤサイズ(後):120/90−18
- タイヤタイプ:チューブレス/バイアス
性能
- 乗車定員:2名
- 燃料タンク容量:22L
構造
- 動力伝達方式:シャフトドライブ
- 懸架方式(前):テレスコピックフォーク(正立)
- 懸架方式(後):スイングアーム式
- ブレーキ(前):油圧式ダブルディスク
- ブレーキ(後):機械式リーディングトレーリング
ハンス・ムート氏デザインの大型カウル
BMW R100RSの最大の特徴と言えばやはりその大型カウルです。ひと昔前では「BMWのバイクと言えばこれ!」とさえ言われ多くのバイカーに認知されていました。私もBMWと言えばこのR100RSの印象が強かったのを覚えています。
ヘッドライトからスクリーンに掛けてスラントさせたフロント、直線と曲線を上手く組み合わせた形状など、世界広しと言えどここまで奇抜なデザインのカウルはそうそうありません。カウルの形状に沿う様に埋め込まれたウインカーに加えてヘッドライト部分は透明のカバーで守られており、空気抵抗を最小限まで低減させる努力を一切怠っていないのがその形状から見て取れます。
フロントから見れば車体をまるっと覆ったまさに盾の様なカウル。高速走行でもライダーはほぼ前方からの風の影響を受ける事なく、快適なクルージングが可能となります。また発売当時のキャッチコピーは『高速連続走行時でも快適です』といったまさに大型カウルの恩恵を捻る事なくダイレクトに伝える様なもの。それほどまでにこのカウルの風防効果は凄まじいものだったそうです。また、大柄な車体に対して短く低いハンドルもライダーの体を一切の風から守る為の仕様だと思われます。
当時としても市販車でここまで大型のカウルを装着したバイクは存在しておらず、その贅沢すぎる仕様はとても注目を浴びていたそうです。
この特徴的な大型カウルを手掛けたのはハンス・ムート氏(Hans A. Muth)。このハンス・ムート氏はとある界隈では知らない人はいないバイク史において知名度の高いデザイナーの一人です。
このハンス・ムート氏はSUZUKIのKATANAのデザインも担当し、日本でもかなり有名な方です。R100RSとKATANAを見比べて見ればなんとなくデザインの志向性が似ているのがよく分かるのでは無いでしょうか。この特徴的なデザインは同氏にとってもアイデンティティの様なものだと思います。とにかく個性とインパクトが強いR100RSを生み出したのは正に常人には真似できないセンスですね。
私はこの大型カウルを初めてみた時「シャチみたい」と言うのが正直な感想。決して甘くみている訳ではありませんが、なんとなく愛嬌も感じられるデザインだなと思いました。しかしシャチは海のギャングと呼ばれる存在なので可愛らしい例えでは無いかも知れませんね。
そんな特徴的なカウルですがただ目立つだけに作られたのではなく、風防効果や空気抵抗を緻密に計算しつくされたこのカウルは今でも「これを越えるカウルは存在しない」とまで言われているのだとか・・・
正に最強のカウルを手に入れたR100RSは唯一無二の存在としてその価値を大いに向上させる事となったのです。今見ても強烈なインパクトで見るものを圧倒する事間違い無しですね。大柄ではありますが全体的にレーシーな雰囲気もあり、意外にも当時のレーサーっぽい革ツナギを着て跨っても様になる二面性を持っています。
BMWの代名詞ボクサーツインエンジン
さっきはR100RSの最大の特徴である大型カウルについて、車体を覆い尽くすといった表現をしましたが、そんな大型カウルでも覆えないのが『ボクサーツイン』です。左右に大きく突き出たこのボクサーツインエンジンの存在感はR100RSの大型カウルにも負けてはいません。むしろこのエンジンの存在がよりR100RSの個性を引き立たせています。もちろんエンジン冷却の観点からわざと覆わないと言うのもありますが。
搭載されているのは空冷水平対向2気筒2バルブ4ストロークOHVエンジン。総排気量は980ccで、最高出力は60ps/6500rpm。時速180km/h付近でも出せるほどのパワーを持ったエンジンです。大型カウルとの相乗効果で正に快適な高速走行を可能としています。
この通称ボクサーツインはBMWのバイクの代名詞であり一見して小難しそうなエンジンに見えますが、実はかなりシンプルな構造らしくある程度の知識があればオーナーでもメンテナンスが可能なほどかなり整備性に優れたエンジンだと言われています。
その左右に飛び出たエンジンから伸びるマフラーデザインも非常に紳士的で、フランジ部分から大きく曲がったエキパイにテールの先端まで伸びたロングタイプのテーパーエンドサイレンサーもオトナのバイクの雰囲気を醸し出しています。
そのサイレンサーから放たれるサウンドもジェントルなもので、荒々しさは全く感じられないマイルドで上品な音質は聞いていてうっとりします。
BMW R100RSを美しく保つには!?
以上、『BMW R100RS』のご紹介でした。BMWを代表する名車として名高いR100RS。その魅力が伝わったでしょうか。
やはりなんと言ってもこの大型カウル。ライダーを守る堅牢な盾の様なカウリングは正に唯一無二の存在感を醸し出しています。現代でもかなり目立つデザインであることは間違いありません。最近では見る機会がめっきり減ってしまったので街中で見かけたら思わず振り返らずにはいられませんね。
こんなに魅力たっぷりなバイクが現在では絶版なのが残念なのですが、それだからこそ魅力がより増すのかも知れません。この様な絶版車・旧車で気を付けたいのがエンジンコンディションの維持、そして外装のメンテナンスでしょう。
バイクとしての造形も美しく完成度の高いR100RS。BMWの歴史を感じる名車ですから外装はいつまでも美しく保ちたいのはオーナー共通の願いだと思います。値段が全てではありませんが、外装の劣化具合はバイク自体の価値を落とす要素にもなります。
もちろん塗装面のコーティングなどのメンテナンスも重要ですが、それと同じくらいメッキパーツへも愛情を注いでいきましょう。メッキパーツも経年と共にくすみや錆が発生するので、放っておけば錆腐食が侵食して取り返しのつかない事に・・・
またメッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもきちんとしたモノを使わないと更に傷やくすみの原因にもなり兼ねません。愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為にしっかりとしたショップとケミカルを選び、美しく維持していきましょう。
愛車はどのKING?
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
クロムメッキ磨き剤「ミガキング」
クロムメッキ保護剤「メッキング」
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詳しくはこちら:クロムメッキの全てが解る。