BharatBenz“バーラト・ベンツ”｜インド市場のダイムラートラック

画像参照元…バーラト・ベンツ公式ページ

BharatBenz（バーラトベンツ）は、チェンナイ（インド）に本拠地を置く中・大型トラックやバスを製造・販売している商用車ブランドです。

ダイムラーAG（ドイツ）の完全子会社「ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークル（DICV）」によるアジア市場を運営する組織により、2013年からインド国内を中心に活動しています。

約11年で瞬く間にインド市場で定着し、インドではとても人気があり、国内シェアは4位の業績で市場を盛り上げているのです。

インドのトラック市場は日本の約3〜4倍と言われ、とても活発な取引が行われています。
この市場で勝ち続けるBharatBenzは、どのようにブランディングをしシェアを獲得しているのでしょうか。

今回この記事では、約11年の少ない歳月で急成長しているBharatBenzの歴史や実績についてまとめました。
そしてBharatBenzの大型トレーラー「HDTT4028TT」のスペックや快適性能などもご紹介していきます。

日本では残念ながらお目にかかることができませんが、中東・アフリカなどでもシェアを獲得するほどのブランドなのです。

BharatBenz“バーラト・ベンツ”の歴史と実績

ダイムラーAG（ドイツ）が手掛けるブランドBharatBenzは、約11年の歴史でインド市場への定着が実現しています。

現在では、インド国内だけではなく中東・アフリカへの輸出も手掛け業務拡大しているブランドです。

こちらでは、BharatBenzバーラトベンツがインド市場でどのように発展していったのかを歴史と実績をもとに解説していきます。

ダイムラーAG（ドイツ）インド市場への進出

ダイムラーAG（ドイツ）は、2013年よりインド市場にも進出しています。

インド市場参入にあたり、ダイムラーAG（ドイツ）の完全子会社「ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークル（DICV）」がダイムラーブランド「BarratBenz」として中型・大型トラック・バスの製造・販売を行っています。

ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークル（DICV）は、ダイムラー・トラック・アジア（DTA）で運営されている企業です。

ダイムラー・トラック・アジア（DTA）の運営を支えているのが三菱ふそうトラック・バス（株）で、製品開発・生産・輸出・調達・研究活動などの提供をしています。

80年以上の歴史と経験を持つ「FUSOブランド」が、縁の下でDICVを支えているのです。

DICVは2013年より、チェンナイ（インド）からアフリカ・アジア・ラテンアメリカ・中東へのトラック・バスの輸出も開始しています。

業績としては、11年間で60を超える都市に商用車を4万台以上を輸出しているのです。
同時に取扱パーツの輸出も手掛け、約1,6億の部品を製造し提供しています。

2021年4月にYouTubeで行われた仮想化イベント「アポロCVアワード2021」では、BharatBenztトラックHDT 5228T/5428Tが「HCVトラクターヘッド・オブ・ザ・イヤー」を受賞されました。

2008年Hero MotoCorp Limitedと合併事業

「Hero MotoCorp Limited」はインド・ニューデリーに本拠地を置くバイクメーカーです。
ダイムラーAGがインド市場への進出する際、「Hero MotoCorp Limited」と合併事業での参入をしています。

2008年7月、Daimler Hero Commercial Vehicles（DHCV）という合併会社が設立されました。

しかし、インド市場の景気後退がきっかけで、DHCVは9ヶ月ほどの期間で合併会社を解散させることになってしまいました。

その後ダイムラーは100％の株を引き取り、Daimler India Commercial Vehicles（DICV）と改名し事業を再開することになっています。

そして、Daimler India Commercial Vehicles（DICV）は、約2年の歳月を使い「Bharat Benz」の開発をし、インド市場に中・大型トラックを販売することとなりました。

2012年ニューデリー・オートエクスポ｜Bharat Benzトラック発表

ニューデリー・オートエキスポ（Auto Expo in NewDehli）とは、インド・デリー首都圏で隔年開催されるモーターショーです。

1985年に考案され、1986年インド・プラガティマイダンで初開催されました。
2020年に15回目が開催され、インドでは最大級のモーターショーとなります。

Daimler India Commercial Vehicles（DICV）は、2012年1月のニューデリー・オートエキスポでBharat Benzブランドを発表し、インド市場への挑戦を開始しています。

その後、2012年3月2日に中・大型トラック（9トン〜49トン）のラインナップを公開し、販売を開始したのです。

BharatBenz｜バーラトベンツ製造工場

BharatBenzは2012年9月よりインドのチェンナイに製造工場をおき、9〜55トンの中型・大型トラックを製造・販売しています。

2015年5月にはチェンナイ工場を拡大し、スクールバス・スタッフバス・観光バスなどの製造、バス用シャーシなどのパーツを生産し活動の域を広げているのです。

製造工場の設立には、約７億ユーロ（942億円）が投資され、この額はダイムラーAGにとってヨーロッパ市場を除き最大の投資額となっています。

BharatBenzの大型トラックは、メルセデス・ベンツ・アクサープラットフォームで製造され、中型トラックはふそうキャンター・ふそうファイターブランドでの製造となっています。

インド市場の競合企業に比べトラックの価格は最大で9％ほど高価な設定ですが、BharatBenzは燃費効率が良く故障が少ないことから国内シェアを増やし続けているのです。

BharatBenz｜HDTT（ヘビーデューティトラクタートレーラー）4028TT

HDTT（ヘビーデューティトラクタートレーラー）4028TTは、バーラトベンツで最大のトレーラーヘッドです。主な使用目的を長距離輸送とし開発されました。

ここでは、BharatBenzブランドのトレーラーのスペックを紹介していきます。

BharatBenz|HDTT4028TTのエンジン

エンジンは、FUSO・メルセデスベンツ・フレイトライナーと同じ工場で開発・製造した「OM926エンジン」が使用されています。

直列6気筒のディーゼルエンジンで、排気量は7,2L、コンスタントスロットルバルブエンジンブレーキは、エンジンのオーバーランを防ぐだけではなく、排気ブレーキ使用中でも低燃費走行が可能なシステムです。

6つのインジェクターの微細な噴霧システムにより、少ない燃料で効率よく燃焼することができ、ハイパワーでいて低燃費な走行ができます。

最大馬力210Kw、最大トルク1100Nmの「OM926」エンジンは、登板性に優れているのが最大の特徴です。

高い登板性を実現させるためバーラトベンツは、インド国内の道路負荷データパターンを綿密に調査し、さまざまな地形で走行テストを実施し開発されています。

BharatBenz|HDTT4028TTのSCRテクノロジー

バーラトベンツHDTT4028TTの尿素SRCシステムは、メルセデス・ベンツ社が開発した「BlueTec」の技術をもとに構成されています。

バーラトベンツHDTT4028TTの尿素SCRシステムの特徴は、

• プロアクティブ・メンテナンスを採用したセンサーにより“未然に故障を防ぐ”
• 80点以上のパーツがメンテナンスが簡潔である
• DPFフィルターの交換時期が長く“メンテナンスコスト削減”
• 安全な排気ガス拡散システムを実現した「ディフェザーテールパイプ」
• 感電防止システムによるより安全な構造

このようなシステムにより、ディーゼルエンジンから排出されるNOx（窒素酸化物）を浄化しています。

尿素SCRシステムの技術レベルは、ユーロ５に適合できる最新の技術が適応され、インドの道路に安全をもたらしているのです。

BharatBenz|純正パーツへのこだわり

GenuinePartsと名付けたBharatBenzの純正パーツは、高品質で低コストをこだわりとして提供しています。

世界的な品種基準を提供できるように、製品工場では厳しい基準でパーツの品種チェックが行われています。

純正パーツを使用することで、メンテナンスと修理コストが抑えられ車両の性能が保たれるのです。

BharatBenz|HDTT4028TTの安全性能

ドライバーがより安全で快適なドライビングができるように、バーラトベンツは安全性能を充実させています。

BharatBenz/HDTT4028TTの安全性能として、

• ドライバー監視システム（居眠り防止）
• シートベルトリマインダー
• ディフューザーテールパイプ
• デイタイムランニングランプ

快適性能としては、

• エアサスペンドシートプレミアム
• 静的ステアリング

このようなシステムにより、安全かつ快適なドライブが実現されます。

また、TRUCK CONNECT（トラックコネクト）と連動することで、ルート検索やトラックメンテナンス状況の把握も手軽にでき、ドライバーの負担軽減が実現可能です。
さらにGPS機能により、ドライバーの位置情報や運転スコア・燃費などの計測もできるようになりました。

そして、故障などのトラブルにはインド国内14の町に236ヶ所の整備工場が配置され、緊急時にもサポートを受けることができます。