画像参照元…ヤマハ公式ページ
短命に終わった隠れた名車『ヤマハSDR200』
バイク史において1980年代は空前のレーサーレプリカブーム。そんな渦中にヤマハが導入したのは『SDR200』でした。本格的なレーシングマシンさながらのカウリングが席巻する中、SDR200はエンジンを剥き出しにしたネイキッドスタイル。特段目立つ様なバイクではありませんでしたが、不思議な存在感を放っていたことは間違い無いでしょう。まるでカウリングを剥いだ様なスタイルのSDR200は、”敢えて飾らない”ことで他に無い個性を持っていました。
1987年7月に発売されたSDR200は、超軽量級のライトウエイトスポーツバイクとして登場。レーサーレプリカブームに火が付き、バイクの進化が著しく活発だったこの時代に、『バイク本来の楽しさとはなんなのか』と問いかけて来るかの様なザ・シンプルを貫いた様な潔い出で立ちは、まさに原点回帰とも言えるバイクです。
『世の中には不必要なものが多すぎる。だから、いちど原点に帰ってみよう。』
これはSDR200のカタログに載せられていた一節。まさにバイカーに問いかける様なコピーは、ヤマハの直球的メッセージとして心を揺さぶってくるものがあります。SDR200はそういったメーカーの思いが乗せられた一台でしたが、レーサーレプリカブームの最中ではある意味尖った存在となってしまったのか、販売台数は伸びず1988年には生産が終了してしまい、その短い歴史に幕を下ろしました。
しかし、わずか1年ほどの販売期間にも関わらず、現代ではその希少性と個性的なスタイリングが評価され、ヤマハの隠れた名車としてファンを獲得しています。
究極の引き算のデザインがSDR200の魅力ではあると思うのですが、単純にシンプルなスポーツネイキッドバイクではなく、細かいパーツにコストを掛けた贅沢な仕様であることもその理由のひとつかも知れません。見れば見るほどSDR200の魅力に沼っていくファンも多いと思います。
SDR200の発売当時の車体価格はおよそ38万円程度。現代ではもちろんプレミアがつき、ピンキリではあるものの、状態によっては100万円を超える価格で取引されている個体もあり、如何に価値があるバイクなのかが伺い知れます。
とても軽快感のあるSDR200ですが、それ以上に存在感のあるバイクであり、バイク本来の楽しさを与えてくれるのはもちろん、所有感も満たしてくれる、オーナーにとっては愛すべき相棒なのでは無いでしょうか。
目次
SDR200の主要諸元
エンジン
- エンジン型式:2TV
- 種類:単気筒2ストローク
- 冷却方式:水冷
- 総排気量:195cc
- 燃料供給方式:キャブレター
- 内径(シリンダーボア):66mm
- 行程(ピストンストローク):57mm
- 圧縮比:5.9:1
- 最高出力/回転数:34ps/9000rpm
- 最大トルク/回転数:2.8kgf•m/8000rpm
- 使用燃料:レギュラーガソリン
- 始動方式:キックスターター式
- 変速機:リターン式6速MT
寸法
- 全長:1945mm
- 全幅:680mm
- 全高:1005mm
- ホイールベース:1335mm
- 最低地上高:160mm
- シート高:770mm
- 車両重量:105kg
- タイヤサイズ(前):90/80−17
- タイヤサイズ(後):110/80−17
性能
- 乗車定員:1名
- 燃料タンク容量:9.5L
- 燃料消費率:58km/L
構造
- フレーム型式:トラスフレーム
- 動力伝達方式:チェーン
- 懸架方式(前):テレスコピックフォーク(正立)
- 懸架方式(後):スイングアーム式
- ブレーキ(前):油圧式ディスク
- ブレーキ(後):油圧式ディスク
美しく軽いトラスフレーム
『トラスフレーム。それは、見る者の目を奪い、ライダーの心を奪う』
これもカタログに刻まれた印象的なコピー。軽量で剛性に優れたトラスフレームを採用したのはSDR200がただのネイキッドバイクでは無いことが分かります。
タンクとエンジンを繋ぐ美しいトライアングルが連なったフレームはSDR200にとって大きなセールスポイントとも言えます。フレームだけではなく、スイングアームまでトラス構造を採用するという贅沢な仕様です。それによって車重は大きく抑えられ、なんと乾燥重量は105kgと驚きの軽量化を実現しています。
また、トラス構造のフレームとスイングアームの表面にはニッケル・スズ・コバルトのトリプルコンポジットメッキ(TCメッキ)を施した美しい質感となっています。
SDR200が敢えてカウルを纏わない代わりに、この美しく仕上げられた造形と表面処理のトラスフレームをアピールしています。贅に贅を重ねた他とは一線を画すこのデザインは、まさに芸術品の様な完成度で、いつまでも眺めていられそうです。
軽快なスポーティデザイン
SDR200の美しいトラスフレームを中心に展開される車体は、軽快感のあるスポーティなデザインとなっています。
ネイキッドスタイルでありながらもレーサーレプリカの様なタンクは、トラスフレームに沿う様にカットされたかの様な形状。容量は9.5Lで幅も非常に狭いスリムなデザインとなっています。タンクのサイド部分には『YAMAHA』のデカールのみと、かなりシンプル。レーシングマシンの様なストイックな雰囲気も感じられます。
シートもスリムでスピード感のあるシングルシートを採用。リヤに向かって尖ったシャープなデザインのシートカウルも魅力的です。シート下に装着されたサイドカバーはトラスフレームとシンクロした様なトライアングルデザインで、一体感を感じます。また、そのカバー内部にリヤショックを隠すことで、リヤまわりがとてもスッキリした印象です。
タイヤサイズはフロント90/80−17、リヤ110/80−17を装着。とてもスリムなサイズが選定されており、ホイールデザインも3本スポークの非常にスリムなデザインのホイールが採用されています。
SDR200の魅力は決してトラスフレームだけでは無い、随所に散りばめられた軽快感が見る者の目、そしてライダーの心を奪います。
潔いハンドル周り
ハンドル周りも非常にシンプルです。原点回帰させてくれるバイクなだけに、無駄なものは一切付け足さない潔い見た目となっています。
メーターは大きなアナログタイプのスピードメーターがひとつ。アルミ削り出しのメーターステーにはメーターの他に各種インジケーターランプが埋め込まれている、なんとも無骨なデザイン。ステープレートの左側は大きく窪み、そこにはキーシリンダーがねじ込まれる様に装着されています。
トップブリッジも至極シンプルなフラットデザイン。トップブリッジとその上にオフセットされたセパレートハンドルはメーターステー同様にアルミ製で、質感と素材に如何に拘っているかが伝わってきます。
走りも侮れない
SDR200に搭載されているのは195cc水冷単気筒2ストロークエンジン。TZR125のクランクケースと互換性のあるエンジンで、最高出力は34ps/9000rpm、最大トルクは2.8kgf•m/8000rpmとなっています。
目立ってパワーのあるエンジンではありませんが、その控えめなエンジンスペックのおかげで低速域から高速域までバランスよく厚みのある走りを見せてくれます。また105kgの超軽量ボディのおかげで、得られた軽快さの相乗効果もあり、SDR200が決してデザインだけに拘ったのではなく、『純粋に走りを楽しめるバイク』であることが分かります。
愛車をいつまでも美しく!
以上、ヤマハの『SDR200』のご紹介でした。デザイン性においても走りにおいても非常に完成度の高いバイクですが、誕生するには早すぎたのか、レーサーレプリカブームの時代の波にのまれて短命に終わってしまったバイクですが、とても魅力のある隠れた名車とも言える一台です。現在ではその存在が再評価され、価値は年々上がっている様です。
ストイックなスポーツネイキッドでありながらも随所のパーツチョイスや、拘った素材など今では考えられない贅の極みを尽くしたSDR200。これほど贅沢な仕様のバイクはなかなか無いでしょう。スリムな車体に込められたヤマハのロマンは現代でも根強いファンによって愛され続けています。
そしてこれほどまでに美しく仕上がったSDR200を美しいままで維持するには、正しい外装のメンテナンスがかなり重要なポイントになってきます。
もちろん塗装のコーティングなどのメンテナンスも重要ですが、それと同じくらいメッキパーツへもコーティングを施し愛情を注いでいきましょう。メッキパーツも経年と共にくすみや錆が発生するので、何もせず放っておけば錆腐食が侵食して取り返しのつかない事になり兼ねません・・・
車やバイクに施されているメッキ加工は『クロームメッキ』と呼ばれるキズや錆に強い加工技術ですが、やはりこのクロームメッキも完璧ではありません。確かにクロームメッキの加工面自体は硬く滑らかになっていますが、手触りでは分からないほど無数の穴が表面に存在しています。その穴から水分が入り込み、下地にあるニッケルメッキを侵食しやがて表面のクロームメッキごと剥がれ落ちてしまいます。
それを防ぐ為に、メッキを磨いたりした後はメッキパーツにもコーティングを施してこの水分の侵入を防ぐ必要があるのです。
またメッキ磨きに使用する磨き剤も正しく選ぶ必要があります。メッキはそれこそ人の肌の様に繊細なので、使用するケミカルもメッキ専用で、しかもきちんとしたものを使わないと更に傷みやすくなり錆や劣化の原因になります。
愛車の価値を損なわない、また美しく乗り続けていく為に、しっかりとメンテナンスを依頼するショップやケミカルを選び、愛車を美しく維持していきましょう。
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ヤマハSDR200 OXレーシングチャンバー
メッキ前
メッキ後
愛車はどのKING?
メッキ手入れ
クロムメッキパーツの多いバイクメッキの手入れにおすすめケミカル「メッキング&サビトリキング」についてご紹介させて頂きます。
クロムメッキには最大の弱点が!?
クロムメッキには目にみえない無数のミクロン単位の穴があいており、そこから水や埃がはいり、クロムメッキが錆びるよりも前に、下地のメッキが錆びてきてしまいます。
ウオータースポットの発生→点錆び→メッキがめくれてしまいます。
初期の段階で、この穴を埋める事を強くお勧めいたします。
穴を埋める事で、クロムメッキの耐食性が飛躍的に上がます。
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